アンダーグラウンドのあらすじ・作品解説
アンダーグラウンドは1997年3月13日、講談社より刊行された、村上春樹によるノンフィクション文学作品である。 この作品は、1995年3月20日にオウム真理教が起こした地下鉄サリン事件の被害者やその家族に、作者自身がインタビューした記録である。 インタビューを受けた人の数は62人にものぼり、取材にはほぼ1年という膨大な時間が費やされた。サリンが撒かれた5本の電車ごとに、そこに乗り合わせた被害者一人一人の証言を集め、その生の声が綿々と綴られている。証言の間に作者の考察は一切挟まれておらず、同じ場所に居合わせた被害者の証言を合わせ読む事で、事件現場で起こっていた事態の全体像が浮かび上がってくる。 1992年2月、講談社文庫として文庫化された。2003年9月には『村上春樹全作品1990~2000第6巻』にも収められた。 1998年1月には続編にあたる『約束された場所でーunderground2』が文藝春秋より刊行された。これはオウム真理教の信者、元信者に焦点を当て、取材がなされたものである。
アンダーグラウンドの評価
アンダーグラウンドの感想
地下鉄サリン事件について
世代的に、地下鉄サリン事件をよく知らないので、知るために読んだ。地下鉄サリン事件は日本の犯罪史に残る事件なので詳しく知っておいて損はないだろう。この本は村上春樹がインタビューをして、地下鉄サリン事件の被害者の声をまとめたもの。地下鉄サリン事件がどういう事件だったのかを被害者の目線から知ることができる。内容がとても濃く、興味深い。私は村上春樹の文章はあまり好きではないが、この本はインタビュー本なので、文体も自然で読みやすい。村上春樹が嫌いな人にもおすすめだ。ページ数の多い本ではあるが、退屈な本ではない。気分的にはさくっと読むことができる。
オウムの事。
私は、最初この作品は小説かと思っていたのだが、実際は、あの忌々しい事件、オウム真理教が起こしたサリン事件のことについて書かれていることだった。しかもこの作品は、被害者の方60の言葉を元に書いているので、リアリティが半端ない(本当の事だからリアルなのは当たり前)60人の方の言葉を聞けば、さすがに重複する内容もでてくるがそれでも生々しさはすごかった。やはり、その場に居た方々の言葉っていうのは、これほど重いんだということがひしひしと伝わってくる作品だ。村上春樹作品にはもう1冊【約束された場所で】という作品があるがそちらもサリン事件関連なので、一緒に読んでみると、尚、深い内容が分かるかとおもわれます。
被害者の生の声
地下鉄サリン事件の被害者の方々のインタビューをまとめたものです。作家 村上春樹は一切なく、インタビュアーに徹しています。しかし、ここには本当にリアルで生々しい被害者の方の声があります。私自身、この事件は、オウム真理教という加害者側についてばかり大きく報道され、被害者についてはなにも知らなかった、興味を持っていなかったことに気づかされました。「被害者○○名」という言葉の裏には、その○○名一人一人に生活があり、一人一人に被害があったというその重みを絶対にわすれてはいけないと思う。この事件を風化させないためにも、少しでも興味を持った方には絶対に読んで欲しい一冊です。