アンダーグラウンドの感想一覧
村上 春樹による小説「アンダーグラウンド」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
地下鉄サリン事件について
世代的に、地下鉄サリン事件をよく知らないので、知るために読んだ。地下鉄サリン事件は日本の犯罪史に残る事件なので詳しく知っておいて損はないだろう。この本は村上春樹がインタビューをして、地下鉄サリン事件の被害者の声をまとめたもの。地下鉄サリン事件がどういう事件だったのかを被害者の目線から知ることができる。内容がとても濃く、興味深い。私は村上春樹の文章はあまり好きではないが、この本はインタビュー本なので、文体も自然で読みやすい。村上春樹が嫌いな人にもおすすめだ。ページ数の多い本ではあるが、退屈な本ではない。気分的にはさくっと読むことができる。
オウムの事。
私は、最初この作品は小説かと思っていたのだが、実際は、あの忌々しい事件、オウム真理教が起こしたサリン事件のことについて書かれていることだった。しかもこの作品は、被害者の方60の言葉を元に書いているので、リアリティが半端ない(本当の事だからリアルなのは当たり前)60人の方の言葉を聞けば、さすがに重複する内容もでてくるがそれでも生々しさはすごかった。やはり、その場に居た方々の言葉っていうのは、これほど重いんだということがひしひしと伝わってくる作品だ。村上春樹作品にはもう1冊【約束された場所で】という作品があるがそちらもサリン事件関連なので、一緒に読んでみると、尚、深い内容が分かるかとおもわれます。
被害者の生の声
地下鉄サリン事件の被害者の方々のインタビューをまとめたものです。作家 村上春樹は一切なく、インタビュアーに徹しています。しかし、ここには本当にリアルで生々しい被害者の方の声があります。私自身、この事件は、オウム真理教という加害者側についてばかり大きく報道され、被害者についてはなにも知らなかった、興味を持っていなかったことに気づかされました。「被害者○○名」という言葉の裏には、その○○名一人一人に生活があり、一人一人に被害があったというその重みを絶対にわすれてはいけないと思う。この事件を風化させないためにも、少しでも興味を持った方には絶対に読んで欲しい一冊です。
ずっしりと重たい。
手に取ると、ずっしりと重たい文庫本です。その重たさは、この作品の重さでもあるように思います。1995年3月20日に起こった、地下鉄サリン事件。その事件では、多くの人が被害者となりました。この作品では、村上春樹さんが、自らその被害者の人や関係者へインタビューし、それらをまとめたものです。その事件の現場にいた人の日常から、あの地下鉄に乗るまでの平穏な時間と事件が起きてからの変化、あるいは、その現場にいたけれど、なんか事件が起こったようだ、と少し遠い場所にいたという人まで、様々な声を感じることができます。文庫本にしては珍しい、二段組みの文章配置で文字の分量が大変多い本ですが、一度読んでみる価値がある作品だと思います。