本気を貫くってことは、一度気持ちがそれたら、もうそれっきりってことだ。
前園多恵子
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書店でお勧めになっていたのが気になっていて、手にとりました。三浦しをんさん作の、色とりどりの恋愛短編集です。【永遠に完成しない二通の手紙】、【裏切らないこと】、【私たちがしたこと】、【夜にあふれるもの】、【骨片】、【ペーパークラフト】、【森を歩く】、【優雅な生活】、【春太の毎日】、【冬の一等星】、【永遠に続く手紙の最初の一文】が収録されています。中でも印象が強かったのは、【裏切らないこと】、【私たちがしたこと】、【夜にあふれるもの】です。人が誰かに向ける一途な思いは、温かくも切なくも美しくもあって登場人物たちのまっすぐさ純粋さに胸をうたれました。解説の中村うさぎさんも愉快でした。
一般的な男女のカップルだけでなく、いろんな形体のカップルがいるなー。いや、こーいうのもアリでいいんじゃない?、と思えてしまえる恋愛短編集です。『私たちがしたこと』は喫茶店ではたらく女性が主人公。高校時代にレイプされ、その犯人をそのときつきあっていた彼氏が撲殺して土の中に埋めてしまうという暗い過去を秘めている。それ以来恋愛などとは縁遠い生活を送っている。友人の結婚式で彼氏に再会することで、ちょっと前向きに生きていこうと思うようになる。過去の内容的は重たかったけれど、現在の様子はが軽い感じで描かれてたので、意外にも読後は爽やかでした。あと『永遠に完成しない二通の手紙』『永遠に続く手紙の最初の一文』はBLです。三浦さんの作品はBLチックなのが多いなー(笑)
前園多恵子
多恵子が『浮気をしない男』の怖さを主人公に説明する場面です。
黒川俊介
主人公がレイプ被害に遭いそうになった場面を当時の恋人である黒川が殺害し、穴を掘って埋めたあとの台詞です。
前園多恵子
多恵子が主人公に『浮気をしない男』について、説明している場面です。