オー!ファーザーの感想一覧
伊坂 幸太郎による小説「オー!ファーザー」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
映画も楽しみです。
タイトルからお父さんのお話なんだろうなと想像していたけれど、まさかの4人のお父さんという突飛な状況(笑) でも読めば読むほど作品に引き込まれていきました。高校生の由紀夫の周りを取り囲むのは、頭脳明晰な大学教授の悟、元ホスト&バーの経営者で女性の扱いがうまい葵、生粋のギャンブラー鷹、中学教師の勲。それぞれ違った個性、かっこよさを持っていてステキ!!こんな父親たちなら4人いてもいいとちょっと羨ましくなりました。あちこちに伏線がちりばめられていて、最後には全て繋がり爽快!映画の方のキャストも個性的ですね~楽しみです。おもしろかった~!おススメの一冊です。
ちちおや
タイトルを見て、確実に「父親」をテーマにした作品だと判断しました。ボクは家族がテーマの作品は「ほのぼの」してしまうので、あまり好みませんが、この作品を少し調べると4人の父親が出てくるお話という奇々怪々なものだったので手に取りました。飛んでみると、出てくる4人の父親全員がかなり理想のものだったです。性格はバラバラなのに、女性の心配をみんなで一緒にしてる場面がほほえましくて個人的にすごく好きです。また、バラエティあるボケや冷静なツッコミがかなり笑えます。そして、後半には「サスペンス」要素がふんだんに盛り込まれており、一気読みしてしまう面白い作品でした。
お父さんが4人って複雑だけど面白い。
とにかく設定がおもしろい。父親と母親と僕で、家族6人暮らしって数が合わない家庭ででも、それなりに真っ直ぐに育っている由紀夫。父親が4人もいて本当の父親が誰かも分からないのにその状況を受け入れて淡々と生活している由紀夫が面白い。そして、由紀夫がピンチになった時に思い出すそれぞれの父親の教訓も面白い。とにかく厄介で危険な事件に巻き込まれるけどそこは父親が4人いるだけのことはあってそれぞれに由紀夫を大事にしながら、協力しながらでも、とんでもない方法で(しかも、その理由がちょっとおかしい)助けてくれる。面倒なんだけれど、ちょっと羨ましくもある。こんな個性的な4人の父親をトリコにした4股かけた、お母さんのエピソードがもっと読みたかったかな。
奇想天外な設定
”伊坂幸太郎第一期最後の作品”ということで、いつもの伊坂節が炸裂というか。実にらしいな、と思わされる物語。普通の男子高校生が主人公。でも彼には4人も父親がいて、そこで事件に巻き込まれ、というお話。でも、こんな突飛で面白い設定なのに、それが存分に活かされているとはあまり思えなくて残念だった。最後もっと盛り上がるのか?4人の父親はどうやって由紀夫を助けるのか?という期待値が高過ぎたのかもしれない。キャラクター一人ひとりがとてもいい味出していて好感が持てるし、文章は安定しているし、そこは安心して読めるのだけれど、ラストもうちょっと突き抜けた展開でも良かったのではないかと思ってしまった。