それでもボクはやってないの感想一覧
映画「それでもボクはやってない」についての感想が10件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
いつ身近に起こるか分からない事件
この痴漢の冤罪って増えている気がします。触られた女性も悪気はないんだけれども、やはり自分の体に誰かの手が当たると「触られた!」と近くの人を疑ったりしてしまうようです。この主人公もスーツがドアに挟まれてもぞもぞしていたということで犯人扱い、確かにその近くで痴漢が起これば一番に疑われる行動なのかも。最近では疑われないように両手を上にあげて電車に乗るという男性もいるくらいだから、本当にいつ身近で起こってもおかしくない事件。だからこそ真剣に見てしまう作品でした。この映画の場合は周りにいろいろと協力をしてくれる人などがいたからいいものの、実際は…といったところが胸に残りました。
正しいことって何なのでしょうかね?
映画に何を求めるかという話になってしまいますが、ハリウッドのような派手なアクションや、韓流のようなチープなお涙頂戴映画が好きな方には不向きかもしれません。しかし、「正しいことって何なのかな?」と今の司法制度などに疑問をぶつけており、日本人みんなが観て意見を言い合いたい映画だと思います。やってもいないことをやったと認めて釈放されることが正義なのか、それとも地位も名誉も失ってでも最後まで戦い続ける事が正しいのか、もし自分だったら、もし知り合いがこんな目に遭ったとしたらと観終わったあとズシリと考えさせられる良質な映画です。こんなに考えさせられる映画はイーストウッド監督の「ミリオンダラーベイビー」以来です。それにしても主演の加地亮さん演技うまいですよね。この映画のような少し気弱なフリーター役もぴったりですが、アウトレイジの役もなかなかだったし、インスタント沼でのぶっとんだ役も秀逸。日本映画界を...この感想を読む
大事な人がもし…と考えながら観ました。
観れば観るほど、痴漢で無罪を立証するのは無理なんじゃないかと思える内容で、切なくなりました。ボクはやっていないのに。すごく考えさせられました。もし大事な人が、夫だったり子供だったりが訴えられた場合、どうすればいいのか。すごく、現実味のある内容で、臨場感が半端ないので観ていて疲れてしまいました。こんなに良く出来た映画なのに最後はすっきり終わらないんだから、そこがリアルなんだろうなぁと思います。本当に切なくなりました。これでもかと、痴漢をしていない証拠を集めても、最後、何も報われない。こんなことがあって良いのかと、本当に思って疲れてしまいました。
ボク側からの景色を撮った映画
痴漢って本当に難しいですよね誰か目撃者がいたとしても仕組まれたものだったりするらしいし…男性は本当に大変だなぁとこの映画をみて思いました。どこにも行き場がなくなってしまったボク途中冤罪の作り方レシピみたいな感じになっていて見ていてとても怖くなりました私は女だからこういう事ないだろうけどもし兄弟がこんな事になってしまったら…父親がこんな事になってしまったら…旦那がこんな事になってしまったら…私は最後まで味方でいたいですが解らなくなってきてしまう事もあるかもしれない加瀬亮さんやその他のキャストのみなさん全員演技が細かく素晴らしかったです
リアルにありそうで真剣に見てしまいました
現実社会では電車やバスでの痴漢って多いですよね。痴漢だと思っても実際はかばんが当たっていただけ、たまたま触れてしまっただけ、そんなこともよくあります。でも、この人痴漢と訴えられれば、みんなは痴漢をやった人なのだと決めつけてみてしまう。この主人公も全く身に覚えが無いのにもかかわらず痴漢容疑をかけられ、裁判にまでなってしまうという悲劇にみまわれてしまいました。痴漢という犯罪は他の犯罪異常に無実を立証するのは大変なのだと思いました。無実であっても無実だと言い続けることの大変さを痛感する作品です。いつ自分の身に降りかかるのか分からないけど、絶対にこんな体験はしないとは言えない、現実に自分に起こりそうな内容で、フィクションとしてよりもノンフィクションを見ているような気分で見てしまいました。
すっきり終わらない
痴漢の疑いをかけられた主人公。警察や弁護士には罪を認めた方が早く釈放されると勧められるけど、主人公はやってないものはやってないと疑いを晴らすため、裁判を起こすことにします。裁判をリアルに描いていると思います。満員電車の中での痴漢行為で、被害者の女子高生は「手を掴んだけど後ろに引かれた」と証言しますが、実際に実験してみると後ろに手を引くことは出来ません。ありとあらゆる証拠を出すのですが、なかなか冤罪だと認められません。ものすごくヤキモキします。そしてそのまま、ヤキモキしたまま物語は終わります。なんだかスッキリはしませんが、社会風刺が込められた作品だと思います。とても考えさせられる作品でした。
細かいところまで完璧
映画を見ている間、心臓を掴まれているような緊迫感が漂う。もし同じ状況になったら、もし家族が当事者になってしまったら、もし目の前の事件が起こってしまったら、そして主人公は本当はどうだったのだろう、と。そう考えてしまうのも、映画があまりにも緻密に作り上げられているから。本当に細かいところまで描かれていて抜けがない。だからといって考え方を押し付けているわけではないので、自分に置き換えて考えてしまう。加瀬亮さんの演技も緊迫感を誘う。カメレオン俳優と言われることも多いが、本当に徹平のような人がいる感覚に陥る。最後まで、どうだったんだろう、どうだったんだろうと考え続け、最後の独白に全身の力が抜けてしまう。
考えさせらる作品
今日もどこかでこの映画と同じようなことが起こっているかもしれない。この映画では、主人公の金子徹平の気持ちのストーリなので、本当に冤罪なのかもしれないのに、って思いました。(冤罪だという設定だと思いますが)「女の子が痴漢と声を挙げるのにどれだけの勇気がいるのか」「やっていないと証明するのがどれだけ難しいことか」「無実の罪を被って、示談で済ませるのか」色んな実話が混ざっているので、どれだけの人が痴漢冤罪に巻き込まれているのか考えさせられました。たくさんの人の人生が狂ってしまうこと、考えもしなかったことがこの映画で知ることができました。木の弱そうな役が加瀬亮にピッタリでした。
とてもリアルな映画
痴漢の被害に遭ったこともなければ、加害者に間違われたこともないが、とても真に迫った映画だったと思います。加瀬亮さんは「めがね」のときのようなフワフワした役も似合いますが、一見気弱そうでありながらも、とても芯が強く、毅然とした男性の役も似合います。加瀬さんのそういう役柄はとても好きです。周りを固めた役者さんも良かったです、弁護士の役所広司さんも親身になってくれる弁護士さんでいい役柄でした。しかし現実に痴漢を疑われた場合に、周囲はどんな態度なんだろうなとも思いました。実際に遭遇したこともないので分かりませんが、協力的な態度で接してくれる人がどれだけ居るんだろう・・・
嘘をつくひと、つかないひと
社会派映画って本当に、まぁひどい!では終われない。誠実に生きたいなと私が思うのは、誰かをどんな形であれ悲しませたくないのと同時に極力自分も気持ち悪い思いをしたくないからですが、ほんとこういう作品みたいなことがある限りどこまでも慎重に過ごさないとなと感じます。冤罪。誰か一人が嘘をついたり嘘をつかずとも真実を明らかにせずに逃げたりするだけで、人の人生なんて簡単にえらいことになる。誰かが身代わりになってくれることで自分が社会的に無傷でいられるヤッター、って思う阿呆には一生、自分がしたことが引き起こしたあらゆる影響について悪い想像しかできなくて気持ち悪くて、でも永久に社会的に償えない的な制裁が下るはず。だから正直に生きるに越したことないよなー…と。もしくは主人公に、実は観てる人みんな盛大に騙されているのかもねぇ…。