ベニスに死すのあらすじ・作品解説
旅先で美しい少年に魅入られた作曲家の苦悩を描いた1971年公開の伊・仏合作映画。 トーマス・マンの同名小説の映画化で、ルキノ・ヴィスコンティ監督による「地獄に堕ちた勇者ども」「ルートヴィヒ」と合わせて「ドイツ三部作」とされる第2作。 1971年のカンヌ国際映画賞25周年記念賞、英国アカデミー賞撮影賞、衣装デザイン賞、音響賞を受賞している名作である。 1911年、ヴェニスを訪れた高名な作曲家アッシェンバッハは、偶然出会った美しい少年タジオに一目で魅いられてしまう。 言葉も交わさぬまま、町で何度も行き交ううち、彼の想いは暴走し始め、町が疫病に侵されたことをも気にかけず、ひたすら彼の姿を求め彷徨うが…。 原作の主人公は作家だが、監督はマーラーをモデルとした作曲家に変更、彼の交響曲第5番が抒情的に流れる美しい作品に仕上げた。 主人公の作曲家を「地獄に落ちた勇者ども」「召使」のダーク・ボガード、タジオを本作が代表作であり、世界中を虜にした美少年ビヨルン・アンドレセンが演じている。
ベニスに死すの評価
ベニスに死すの感想
究極の美
「ベニスに死す」といえばビョルン・アンドレセンである。タッジオことビョルン・アンドレセンの美しさを堪能するだけでも十分な映画といっても過言ではないほどの魅力を放つ彼。溜息の出る程の美しさですよね。彼の虜になった人はかなりいらっしゃるかと思います。実は私も彼目当てで視聴しました。そしてこの映画はそんな美少年が、ショタコン変態オヤジにストーカーされる可哀想なお話。そう認識されてる方は多いのではないでしょうか。言葉が悪くなってしまいましたが、確かに一見するとそうでしかないです。ですが、私はこの映画を見る度なんだか叱咤されたような気分になるのです。脳天を撃ち抜かれたような衝撃すら覚えます。私もベニスに死せる1人かもしれません…。この得体の知れない焦燥感やら色々な感情やらが沸き起こる所以はなんなのか考えてみました。その1「永遠ではない儚い美しさ」この映画のテーマと最大の魅力は美です。ビョルン・アン...この感想を読む
妖しい官能と死の誘惑にみちた、耽美的な情念の芸術作品
なんとぜいたくな耽美の世界であろう。それは、妖しい官能と死の誘惑にみちた、おそろしいまでの美しさだ。1911年の夏、ベニスのリド島。保養にきた高名な初老の作曲家アッシェンバッハ(ダーク・ボガード)は、同じ海浜ホテルで、ポーランド人一家の美少年タジオ(ビョルン・アンドレセン)に出会い、心を奪われる。彼は少年の姿を求め、あとをつけ、待ち伏せし、恋焦がれながら、ついに言葉ひとつ交わさぬまま、折から蔓延していたコレラにおかされて、命を落とすのです。無残な悲劇です。孤独で生真面目な主人公の魂をとらえた、少年タジオのこの世ならぬ美しさ。それは、"老い"の若さへの憧れ、芸術家の美への執着なのであろうか。いや、そうしたきれいごとの言葉さえむなしいほど、彼は狂おしく少年への恋慕にのめりこんでいくのです。彼を正気に押しとどめた、老残の我が身への自己嫌悪さえ、今は狂恋の自虐的な快感へとすり替わるのです。黒々と髪を染め...この感想を読む
美しいタッジオを愛でる
ルキノ・ヴィスコンティ監督がタッジオを捜し求めて、ヨーロッパ中探し回り、ようやく見つけたのがビョルン・アンドレセンでした。ちょっと年が行っていたといいますが、彼こそタッジオです。映像の評価はタッジオの美しさとヴェネツィアの町並みのキレイさだけで最高評価です。美しいタッジオの気を惹こうと化粧をし、白髪を染める老齢の音楽家のアッシェンバッハはとても滑稽で悲しかったです。でも幾つになっても、好きな人に見てほしいもんだよね。アッシェンバッハのそういう姿を醜いとは思いませんでした。そしてマーラーの交響曲第五番のアダージェットがとても美しくて、この映画にぴったりでした。
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