愛の嵐のあらすじ・作品解説
ユダヤ人解放後を背景に、1957年の冬のウィーンを舞台にしたリリアーナ・カヴァー二監督作品愛の嵐。 かつてはナチスの親衛隊の将校であったが、戦後は素性を隠してひっそりと暮らすマックス。マックスはウィーンのホテルにて夜番のフロント係兼、ポーターとして働いていた。 しかしそんな中、ホテルの宿泊客としてアメリカから有名なオペラ指揮者が訪れ、事態は一変する。有名オペラ指揮者の妻は13年前、強制収容所で自らが弄んだユダヤの少女ルチアであった。性の玩具として弄んだ少女が大人の女性として目の前に現れ、少女時代に彼に受けた性の仕打ちを思い困惑する。しかしルチアもまた困惑していた。身の危険を感じ、ホテルから出ようとするルチアの元に、マックスがやって来る。ふたりは13年の期間で倒錯した日々を埋めるかのように体を重ねるようになる。 ルチア役のシャーロット・ランプリングのセクシーさとエロティックなストーリーが話題となった、エロティック映画である。
愛の嵐の評価
愛の嵐の感想
頽廃的で耽美な狂気の世界を描き、凄愴の情念が燃え立つ幽遠な愛のドラマ 「愛の嵐」
このリリアーナ・カヴァーニ監督の「愛の嵐」は、なんと衝撃の、頽廃の、異常な、そしてデンジャラスな甘美な愛のドラマなのだろうか。1957年ウィーンの冬。灰色に沈む冷雨の中を、黒いコートと傘のマックス(ダーク・ボカード)が行く。傲慢な紳士のように見えるが、だが彼は、古びた中級ホテルの夜勤ポーターにすぎない。暗鬱の翳り。額に走る傷跡と、儀式的な身のこなし、冷厳な挙措と、時にほとばしる残忍な手荒さと。そうした様子を、かつて彼が同じ階級に属し、肉体の関わりもあったと思われる、ホテルの長期滞在客------老醜に厚化粧の没落した伯爵夫人(イザ・ミランダ)や、自室で恍惚とバレエを踊る明らかな男色家(アメデオ・アモディオ)------との交渉に、見せていく。そして、マックスこそは、元ナチ親衛隊員で強制収容所で権力を揮う将校だったのだ。あの時、一人の美しいユダヤ少女を"餌食"にしたことを忘れない。少年のような体つきの、まだ蕾の...この感想を読む
欲望と渇望の果てに。
かつてナチスの将校だった男と、強制収容所の収容者だった女。たがいに過去をもみ消し、まったく別の人生を歩んでいたはずが、ふとしたはずみに再会してしまったふたりの破滅への物語。逆十字の帽子にサスペンダーのシャーロット・ランプリングの画像は、映画をみたことがない方でも一度はお目にかかったことがあるのではないでしょうか。暗がりの多い映像のなかで、かつてのナチス親衛隊たちは夜陰にまぎれるように、息をひそめて生き延びる方策を続けています。どうあがいても悲劇的な作品のなかで、もっとも「欲望」を感じさせるのは、マクシミリアンとルチアがなめあうジャムの瓶。指ですくったジャムをマクシミリアンに与えるルチアの姿が、ぞっとするほどに悲しく、やるせなく見えるのです。
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