世界の映画史に残る不朽の名作
イタリア映画界の世界的な名匠ルキノ・ヴィスコンティ監督のこの「家族の肖像」は、彼の「山猫」「ベニスに死す」と並んで、映画史上に燦然と輝く、不朽の名作だと思います。イタリアの名門の貴族の出身で、最高の知識人で、鮮烈な映画芸術家であり、美術収集家であり、その生涯を独身で通しました。そして、美青年を愛したことでも有名で、若き日のアラン・ドロンに貴族教育を施し、後年は孫のような若さのヘルムート・バーガーに偏愛を捧げたのです。そうしたヴィスコンティ監督の、この作品は最も自伝的な色彩の濃い、しかも撮影中に病に倒れながら、文字どおり心血を注いで作り上げた、彼の集大成ともいうべき作品だと思います。ほとんど完璧といっていい、凄絶といっていい、鬼気迫るばかりに格調高く、深い人間洞察の眼で、一つの時代の終焉を描いているのです。ここでは、震えて打ちのめされるほどの、美しい悲劇が描かれているのです。主人公は、ロ...この感想を読む
5.05.0
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