ピアノ・レッスンのあらすじ・作品解説
ピアノ・レッスンは、1994年に公開されたオーストラリア・フランス・ニュージーランドの合作映画である。監督・脚本は、「エンジェル・アット・マイ・テーブル」「ある貴婦人の肖像」「ホーリー・スモーク」のジェーン・カンピオン。音楽は、マイケル・ナイマン。出演者は、ホリー・ハンター、ハーヴェイ・カイテル、サム・ニール、アンナ・パキン。 1852年、エイダ・マクグラスは、アリスディア・スチュワートと結婚する事になり、娘と一台のピアノと共に旅立った。口がきけないエイダにとって、ピアノは言葉と同じ意味をもっていたが、スチュワートは重すぎる事を理由にピアノを家に運ぶ事を拒否。エイダは海岸に置き去りにしたピアノを弾きに行くのだが、その様子を見ていたベインズという男が、エイダに惹かれていくのであった。 アカデミー賞にて主演女優賞、助演女優賞、脚本賞、カンヌ国際映画祭ではパルム・ドール、女優賞など、多数の賞を受賞している。 映画のサウンドトラックも反響を呼び、世界で300万枚以上を売り上げるヒットとなった。
ピアノ・レッスンの評価
ピアノ・レッスンの感想
悲劇を生んだピアノレッスン
不埒ながらも正直な欲求主人公のエイダに誰もが自己愛が強い人だと感じてしまうのではないかと思います。自分の決して贅沢は言えない身の上も、幼き子供が母を求めていることも、自分を受け入れてくれる結婚相手さえも忘れて、自分の求める愛をただひたすら追及する女性。エイダは傲慢でプライドも高く、自己中で人の言うことになかなか耳を貸さない。それでもなお主人公の気品、容姿の美しさ、繊細に織り成すピアノ、読み取れない感情などの魅力に、周りの登場人物に加えて、映画をみる鑑賞者までも引き込まれてしまうのだと思います。ベインズの魅力にノックアウトしかし主人公エイダの美しさに負けず劣らず、原住民役のベインズが格好いいです。決してベインズは若くもなく、顔も良くなく博識ではない(顔に原住民シンボルのペイントか刺青をしているのが怖くもある)。むしろエイダの元々の結婚相手のスチュアートの方が端正で、資産家で知識人で、一般的...この感想を読む
幻想的な映像と音楽が美しい。
主人公のエイダは、入植者スチュアートと再婚するため、娘のフローラとともにスコットランドを出て、ニュージーランドに向かう。彼女が持ってきただ一つの荷物は、ピアノ。口がきけないエイダにとって、ピアノは心の支えだった・・・幻想的な風景と、美しいピアノの音色、言葉を多く語らず静かに佇む登場人物たち・・・なぜか強烈な印象を残す作品です。お話はエイダの心理描写があまりなく、説明不足な感じで、少しわかりづらいです。荘厳な雰囲気の映像に比べて、けっこう生々しいドラマが展開されます。また、後半は夢なのか現実なのかわからない描写も。こういう内容が得意ではない人には、最後までよくわからない映画かもしれません。
映像と音楽に酔いしれる
映像と音楽の美しさにとにかく圧倒されます。はっきり言ってストーリーはさほど印象に残るようなものではありませんが、映像美と音楽の心地よさでずっと見続けていたい気持ちになります。ある種中毒性のある作品です。ヒロインの女優さんはピアノが弾ける人なので、劇中の演奏は代役ではなく本人が弾いています。そのため不自然さで気持ちが途切れることがありません。また子役のアンナ・パキンの演技も素晴らしく自然体です。最初から最後まで、引っかかるところがなく作品の世界にどっぷり浸ることができます。前述のとおり、とりたてて印象に残るストーリーではありませんが、エンディングだけは個人的にすこし引っかかりが残るものでした。人によって望む形が違う、落としどころの難しい話ではあると思いますが…