あどりぶシネ倶楽部のあらすじ・作品解説
あどりぶシネ倶楽部は、1983年から、小学館の「ビッグコミックスピリッツ」に不定期掲載された、細野不二彦の青春漫画である。タイトルは、大学の映画製作サークルの名前であり、そこに所属する大学生たちが繰り広げる人間群像劇である。 主人公は、エンターテイメントを志す監督兼俳優の神野高史で、神野を中心に、カメラマンで美少年の佐藤道明、プロデュ―サーでおネエ言葉を使う片桐邦夫、音響兼俳優でスタントもこなす原田、脚本兼記録係で紅一点、天然ボケの沖梓たちが映画に向き合いながら過ごす日々が描かれている。チームワークで、興行的にも成功といえる作品を制作するようになるが、なにもかもスムーズというわけではない。友情あり、愛情ありの人間模様と、青春の夢や痛みが絡み合う、等身大の大学生の姿を秀逸に表している作品と評されている。 単行本は、1986年に「ビッグコミックス」として、全1巻が発売されている。また、2001年には、小学館文庫として文庫版が出ている。
あどりぶシネ倶楽部の評価
あどりぶシネ倶楽部の感想
「映研」って知ってる?
かつて大学では「映研」と称する8ミリフィルムによる自主制作映画を作るサークルがあったんじゃ…といきなり昔話からはじめなければならないような、ちょっと昔の作品ですが。「ギャラリー・フェイク」「ダブル・フェイス」などで活躍中の細野不二彦さんの80年代の作品です。当時はデジタル技術などまだ影もカタチもない頃で、「フィルムがもうない」「フィルムをつなぐ」といった会話が出てきたり、おカネのない学生映画の感じがうかがえて、短い作品ながらも小気味よく読めました。この頃の細野さんは短めの作品を少年誌・青年誌に多く発表していますが、個人的に絵柄もテンポも、とても好きな頃合いです。説明の部分が少々すくなく、話に疑問符のつくような場面もあるのですが、それはそれでいいんじゃないでしょうか。佐藤道明という名前も懐かしいモンであります。