天使たちの進化論のあらすじ・作品解説
天使たちの進化論は、白泉社LaLaで1990年に掲載された、清水玲子による日本のSF漫画である。 ヒューマノイドのジャックとエレナを主人公としたSF作品の派生作品の一つでもある。そのあらすじは、24世紀を舞台とした地球で、170年前に別れた恋人のことを忘れられないジャックと、200年前の主人のことが忘れられないで自殺を繰り返すエレナというロボットたちの物語である。そして、今回の物語は、24世紀の春を舞台にしている。オランウータンのアイコとルイスが同時期に妊娠することで、ロボットのエレナはとても嫉妬する。そんなとき、ジャックのもとへ、媚薬のランを採取することの仕事が入る。しかし、そのランは、特別な資格、E・L・G保持者しか入ることができない、タランダという星にのみ生息していることがわかり、その資格保持者である、ルイスに同行をお願いすることとなる。ジャックとエレナはルイスとアイコと子供たちを連れてタランダへの度を始めるのであった。
天使たちの進化論の評価
天使たちの進化論の感想
90年代以降を代表する、SF少女漫画の嚆矢。
80年代までの少女漫画におけるSFのが山田ミネコ、萩尾望都だとしたら、90年代におけるその存在は清水玲子なのではないかと思います。初期作品からMoonchild、秘密まで一貫して高い水準のSF的世界を舞台として、間断なく作品を紡ぎ続ける、ものすごい人だと思うのです。初期の代表作ともいえる「ジャック&エレナ」シリーズの登場人物による読み切り作品が収録された本作も、短いながらもぐっとひきしめられた物語ばかりで、清水玲子の真骨頂ここにあり、と感じます。表題作「天使たちの進化論」では、セクサロイドという存在のエレナとオランウータン、人間の溝を題材としながら、生命とは何か、という命題を読みやすく提示しています。小品ながら「千の夜」はエレナの側面をとても端的に表現した良作と思います。