機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKYの評価
機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKYの感想
ドライで大人なガンダム 映画としてはテーマの絞り込み不足感あり
ドライでリアルな戦争を追求した作品?ガンダムを冠しているが、これまでのガンダムの中で最も大人向けで、ある意味ガンダムらしくないドライな作品、と言えるだろう。地球連邦軍、ジオン公国軍、両方のエースとその周辺の人々を、片側に寄らず、平等に丁寧に書き、正しい戦争などない、双方に言い分がある、というスタンスで70分が進む。とはいえガンダム要素を全て排してしまえば、本作は話として成り立つのか? と問うならば、答えは微妙である。戦争の悲哀や狂気は既に語りつくされたジャンルとも言えるからだ。 戦争のリアルをガンダムで描く矛盾戦災により、義手や義足が必要な体となっても戦う兵士たち。補充されるのは年端も行かぬ少年兵ばかり。殺されたから殺すという憎しみの連鎖。恐怖とストレスを和らげるための音楽。戦争を憎みながらも、戦争で人を狩る喜びに魅入られていく狂気。和平と戦闘の境目が無く、果てしなく続く戦闘行為。スト...この感想を読む
子供も惚れるぞ、大人すぎるガンダム。
見渡す限り、大人大人大人――。テレビシリーズのガンダムは特殊な例を除けば少年が主人公で、大人が主人公のガンダムは劇場版かOVA作品に任せている。主人公以外でも、ギリギリを攻めるゴア表現や、モビルスーツの製造競争といった子供には伝わりにくい物語など、テレビ作品でないことを有意に捉えている。この辺りは、サンダーボルトを見るほどの大人なガンダムファンなら分かりきっている筈だ。このサンダーボルトもOVAから始まったアニメ作品であり、大人向けに属する。それゆえに、出てくる登場人物はみんな大人だ。若い人物も出てくるが、それは1年戦争終盤に出てくるモブキャラの少年兵達くらいだ。1stガンダムを見たことがある人なら、少年兵と聞けば嫌な鳥肌が立つことだろう。先述の通り、劇場版・OVA作品にはゴア表現がある。サンダーボルトでそれを象徴するのが、主人公の一人であるダリル。彼が腕を失くすシーンは、成人を迎えている自分か...この感想を読む