お吉の茶碗の評価
お吉の茶碗の感想
気軽な時代劇
大好きなシリーズの中一作。一巻の中に7,8編のエピソードが収録されているが、表題の作品のほかにもいろいろと面白い物語があり結末がわかっていても何度でも気軽に読めてしまう。表題作品についていえば、昨今のアンティークブームを考えると現代に置き換えても十分にありえるお話として楽しめると思う。ひとつの古ぼけた茶碗をきっかけにして、捕り物に発展していく面白さは痛快だ。ちょっと深読みしすぎかもしれないなとは思うけれど、こんな風に愛用されたほうが「物の気持ち」としては嬉しいだろう。と作者がこっそりと主張しているような気がしてならない作品でもある。ところどころにちりばめられた江戸の風物も想像をくすぐって面白い。