イン ザ・ミソスープの評価
イン ザ・ミソスープの感想
インザ・ミソスープというキーワードに隠された外国人と日本人の違い
この作品は村上龍作品に共通するテーマがもっともよく現れている村上龍作品にはいつも共通しているテーマが描かれています。暴力について、社会について、日本が抱える問題についてなど。アプローチの方法は様々ですが、インザ・ミソスープには、作者の描きたいテーマがはっきりと描かれています。主人公のケンジは外国人相手に風俗ガイドの仕事をしている青年です。ケンジはアメリカ人のフランクを客として案内しているうちに、彼の異常性に気づいていきます。フランクは人を殺しまくる狂った人間です。ですが、村上龍が描きたいテーマは殺人の異常性ではありません。重要なのはこの作品のフランクがアメリカ人であるということでしょう。ここから見えてくるのは日本の純文学が抱えている闇です。日本の純文学とは村上春樹と並んで日本の代表的な純文学作家と評価されている村上龍。近代の純文学は明治維新以後に始まったとされ、村上龍も太宰治や夏目漱石...この感想を読む
むしろプラス
タイトルと表紙にインパクトがあり、手に取った作品です。「ミソスープ」という外国人がよく使いそうな言葉に不気味な表情をした外国人の顔の表紙。この組み合わせが不気味すぎる。内容は、夜の歌舞伎町で、外国人を案内する仕事をしている主人公のもとに不気味な客が現れた。この人物の過去が読み進めていくうちに明らかになっていきます。前半部分は「不気味な作品だあー」って印象でしたが、後半にはまったく違う感情を覚えました。「グロい」ちょっと読むことに抵抗を思えるほどのグロい内容でした。しかし、なにか間違いではない、なにか哲学的なものも感じて、プラマイゼロ...むしろプラスで面白かったです。
残酷な殺戮シーンに脳が麻痺…
残酷な殺戮シーンが淡々と描かれています。グロさが生々しく鮮明に目に浮かんできて、気持ち悪くなってしまいました。もう無理!と感じ、読み飛ばすページもしばしば。精神異常者フランクに対して、ケンジが不信感を持ち始め、だんだん恐怖に陥り、心身ともに麻痺していく状況も身近に伝わってきて、背筋がぞわぞわしました。それにしても、村上龍の想像力はスゴイ!こういうドキュメンタリー的な描写が上手いんですよね。中だるみもなくぐいぐい引き込まれてしまいます。読んでて本当に気持ち悪くなりましたが、怖いもの見たさでしょうか、最後まで読みとおしました。読後しばらくは、体に力が入らず頭がボーッとして、まるで脳が麻痺している感じでした。