絵描きになるのは美術学校へ行くだけが道やない。どれぐらい絵を描きづつけられるかや
小磯良平
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兵隊ばかりが戦争を語れるわけではない少年Hとは、著者妹尾肇(せのおはじめ)さんのことであり、著者自らが少年時代に体験した戦争のことを、兵役を課せられなかった立場で描かれている。戦争時代の体験というと、実際兵役を課された方でご存命の方の手記につい手が伸びてしまうものだ。しかし、子供が学校で訓練を受けたり軍需工場で働いたり、父や母も年齢や性別から兵役を課されていない家族が、戦争をどう捉え、どう感じ、どう行動したかというのは、また一つの貴重な戦争の証言でもある。言論が統制されている中、実際には国民がいかに猜疑心を持って戦っていたかがよくわかる本である。戦時中の人はすべて強靭な精神力の持ち主だったか?神風特攻隊や沖縄のひめゆり部隊などの書籍を読むと、戦時中の人はいかに精神が頑健で胆力があり、どんなストレスにも打ち勝ってきたかのように思えるが、実際は現代人と大して変わらない日常を送ってきた人も多い...この感想を読む
小磯良平
家庭の経済事情で美術学校に進学できなくなったHに、美術の師である小磯先生が言った言葉。