校長先生となったアンの奮闘記
『赤毛のアン』シリーズの4作目です。ここまで読もうと思うのは、すっかりアンの魅力に引き込まれてしまった人だと思いますから、もしかしたら、余計なレビューは読まずに、楽しんだ方がいいかもしれません。 前作でやっと恋人同士になったアンとギルバートですが、ギルバートが医学部に進む間、アンは高等学校の校長をして、遠距離恋愛を続けることになります。その間にやり取りした手紙と、アンが実際に体験したことが織り交ぜられて、物語が進んでいきます。ここでも、アンは、個性たっぷりの人たちに取り囲まれています。魅力的な友人もいれば、なんとしてもアンを困らせてやろうとする敵もいれば、悪気はないのだけど迷惑な人もいます。アンは、大人になってさらりとやり流す術を覚えつつも、これはと思った人にはまっすぐに心から接して、その人の愛を勝ち取ろうとします。そんなアンは、やっぱり好きにならずにいられません。 それから、恋人ギルバートに書いた手紙ではありますが、ラブレターめいたところは『以下省略』みたいな感じで省略されているのが、おもしろいです。文学好きのアンですから、きっと甘くロマンティックな手紙を書いたんでしょうね。でも、それは恋人ギルバートのためだけ、という作者のスタンスのおかげで、甘ったるいだけの物語にならず、アンの個性が生きているのはさすがです。
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