心の整理をする旅路
両親に愛されていないように感じている少女が、実の祖父のように慕っている親友のおじいちゃんの病気をきっかけに、地元に古くから伝わる不思議な洋館の鏡から、異世界に迷い込みます。そこで、出会った謎の青年と元の世界に戻るために、不思議な世界を旅する物語です。 その世界の住人は、貪欲さから災いを招いてしまい、不可思議な病におかされています。その根っこにあるのは、『人と接する上で避けることのできない心の傷』への恐れです。それは、主人公の少女が抱えていた問題とリンクし、そして、どこかで読んでいる私の抱えている痛みや不安が投影されていることに気付かされます。 旅を続ける少女は、困難を乗り越える過程で、自分と両親の関係を冷静に見つめ、自分のあり方をじっくりと考え、強くなっていきます。同時に、読んでいる私自身も、自分の中の弱さや心の傷を見ているような気持ちになります。それは、鏡を通して自分を見ているような感覚です。 この本を読み終わると、まるで心の整理をする癒しの旅路をたどってきたような、心地いい疲れと満足感を得られるでしょう。
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