色褪せない悲しみと温かさをもった作品 - レオンの感想

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レオン

4.674.67
映像
4.50
脚本
4.50
キャスト
4.67
音楽
4.33
演出
4.50
感想数
3
観た人
5

色褪せない悲しみと温かさをもった作品

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

マチルダ役のナタリー・ポートマンの魅力

この作品が公開された1994年は、まだ映画館によっては「同時上映」のシステムが取られていて、1800円払って二本映画を観ることができる時代だった。よって、別の某映画を観に行ったところ、同時上映がこの「レオン」だったのだが、不覚にも本命の映画よりこちらの方がはるかに印象に残る映画だった。

とにかく度肝を抜かれたのが、12歳の少女マチルダの聡明さ、少女であるにもかかわらず大人顔負けの妖艶な色気(と言ってもいやらしいものではなく)を持っている点である。

当時マチルダを演じたナタリー・ポートマンは13歳だったようなので、ほぼ年齢相応の役を演じていたことになる。この作品のマチルダ役が、大人になったらどれだけの実力者になるか計り知れない才能を持った女優・ナタリー・ポートマンの存在を日本に知らしめることになったことは間違いない。

大人のレオンを射抜いて見透かすような魅惑的な視線は、縁起の上手い下手という安直な問題ではなく、ナタリーが天性のもとのして持つミステリアスな魅力であり、真似しようとしてできるものではない。妖精のような美しい容姿だけではなく、非常に難しい家庭環境にあり、複雑な価値観を持つ少女を見事に演じ切っている。

役の個性が強く、二面性までしっかり描かれている

主役のレオンにしろマチルダにしろ、悪役のスタンスフィールドにしろ、二面性がある人物だと言っても良い。レオンは冷徹な殺し屋と言う職業であるが、意外とおどけたところもあって、マチルダとものまねゲームを楽しむようなお茶目な一面があったり、植物を友として人との関わりを避けているようで、ゴルゴ13なんかに比べたらずっと情が深い一面がある。

マチルダも、親兄弟が殺害されたところを素通りして他人を装う機転と度胸を持ち合わせ、レオンが殺し屋だと言っても「素敵」というリアクション。また、レオンとの生活と共にするよう話を持っていく処世術にも長け、少女にしてはかなり世慣れした印象がある。その一方で、子供のように号泣することもあり、ぬいぐるみを大事にするような一面がある。

スタンスフィールドなどは、麻薬捜査官なのに自分がその薬の常習者という、相反したものを持ち合わせている。こうした登場人物の、二面性も含めた個性の描かれ方が見事で、また、マチルダとレオンが共同生活の中で変化していき、今までの自分に無い一面を見つけて行くのも印象深い。

殺し屋と言う職業が実際アメリカにあるのかどうかは不明だし、実際には殺しなど犯罪なのだが、この作品には、レオンが悪い人間にはどうしても思えないという不思議な魅力がある。

非現実的職業の男と、家族が惨殺されるという未曽有の悲劇に見舞われた少女の、年齢を超えた愛情が、それぞれの魅力的な個性と共鳴し合い、キャッチコピー通り「凶暴な純愛」と言うにふさわしい作品になっている。

小物づかいが見事

レオンが根を張った生活をしていない点や、人と接するより黙ってそこにいてくれるだけの観葉植物に友情を感じているなど、彼の人格や生き方の象徴として、鉢植えの観葉植物が非常に良い存在感を出している。転々と転居していく際にも、観葉植物はいつも一緒だ。

ラストシーンでレオンとマチルダが根性の別れとなってしまう大脱出の際に、その植物をマチルダに託したのも印象的だ。もはや人間と同じ扱い、レオンの化身と言っても良い。レオンは最悪自分が命を落とすことになっても、観葉植物とマチルダが根を張って生きていける場所にたどり着いてくれることを、どこかで願っていたのでは?もっとも、自分が待ち合わせ場所にたどり着ければ一番いいのだけど、とそんな思惑があったようにも思う。

マチルダは、鉢植えを自分が生活することになる寄宿舎付きの学校の校庭に植え、実質根を張った生活を送ることになる。ただレオンの死をもって学校に戻りましたという展開ではなく、鉢植えだった観葉植物を地植えにすることをもって、レオンにも平穏が訪れたような、温かみのあるラストになっている。

色褪せることがない感情

この作品は20年以上前の作品であるのに、今でも多くのファンに愛されている。

レオンやマチルダが抱えている孤独、大切な人を失う悲しみ、分かり合える人を愛する心など、いつの時代でもある普遍的な感情を描いた作品なので、全く古臭さを感じない。むしろ、孤独死や独身者が増えた現代の方が、よりこの作品の恋人とも、友情とも、親子愛とも取れるような「必要な人」への大きな愛に飢えていて、共感が持てるのではないだろうか。

ジャン・レノのコミカルな一面は、その後・・・

レオンは総じてシビアな役どころではあったが、一方でユーモアも理解しているような一面は、そのままジャン・レノの人柄であるかのように日本では受け入れられたのではないだろうか?

2011年にトヨタ自動車のCMで、なんとドラえもんの役を彼がやることになった際、あのレオンが‥と思いつつ、レオンがクリント・イーストウッドの物まねをしていたことを思い出し、ドラえもんもありかもしれない、と思ってしまったものである。

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他のレビュアーの感想・評価

ロリコンではありません

中年の暗殺者を演じるジャン・レノと当時幼い親の敵討ちをしたいと望む今では大女優のナタリー・ポートマンのラブサスペンスであります。凄腕の暗殺者であるジャン・レノは一人で仕事をこなしてきました。ある日たまたま親を目の前で殺されたナタリー・ポートマンをかばったことが二人の出会いであります。単なるラブロマンスとは違い二人の愛は深いものになっていくのです。彼は自分の命を省みず彼女の敵を打ちます。これを親子愛と観ることも出来るかもしれませんがナタリー・ポートマンは当時幼いながらも立派な女性を演じているので恋愛と観る方が自然であります。最初に見たのは学生の時でしたが社会人になっても何度も観ました。すると、中年と少女の恋愛で片付けてしまうと単なるロリコンとなってしまいます。現代では少女にいたずらをする大人もおりしばしニュースで報じられる事件もありますがこの映画では年齢を感じさせない恋愛が描かれています...この感想を読む

4.54.5
  • wMwM
  • 148view
  • 544文字

殺し屋と一人の少女が織りなす愛の物語

言わずと知れた名作。主人公のレオンは毎日決まった時間にトレーニングをしたり観葉植物の世話をしたりとストイックな殺し屋。幼い頃から殺し屋をやっていた彼は孤独な生活を送っている。レオンはひょんなきっかけから同じアパートに住む少女マチルダと出会う。マチルダは麻薬の運び屋をしている父から虐待を受け義理母や義理姉からも冷酷な扱いを受けていた。唯一の仲間は弟。しかしとある日悪徳麻薬取締局の刑事スタンスフィールドに家族全員惨殺されてしまう。その時レオンに命を救われた彼女は殺し屋の弟子にしてほしいと懇願しそこから二人の物語が始まる。この作品なにより少女マチルダの魅力がハンパない作品である。演じたナタリー・ポートマンの放つ可愛さや演技力が素晴らしくこのキャラクターに憑りつかれる人は非常に多い。主人公レオンを演じるジャン・レノやノーマン・スタンスフィールド演じるゲイリー・オールドマンなど実力派でありキャス...この感想を読む

4.54.5
  • セミセミ
  • 96view
  • 698文字

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