男に同情する?それとも自業自得? - 不信のとき ウーマン・ウォーズの感想

理解が深まるドラマレビューサイト

ドラマレビュー数 1,147件

不信のとき ウーマン・ウォーズ

4.174.17
映像
3.50
脚本
4.00
キャスト
4.33
音楽
4.00
演出
3.67
感想数
3
観た人
3

男に同情する?それとも自業自得?

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
4.0

目次

謎がたくさん残されたドラマ

有吉佐和子さんの原作を何度も読み返していました。原作の時代設定は戦後ですが、ドラマは現代にリメイクしてありました。脚色のおかげで、より、妻と愛人のバトルが楽しめるようになっています。男のずるさと優柔不断、そして、結局真相を知るのは女でしかないことを知らしめる、ちょっとシニカルなドラマです。

男というものは悲しいものです。このドラマのタイトル通り子どもが我が子であることに「不信」を感じなければいけないなんて。もちろん一般家庭では、そんなことはないでしょうけれども。自分が他の女に子どもを作っているのに、妻からは「無精子症」だといわれてしまう。じゃあ、愛人の子どもは誰の子なんだ?って悩んだでしょうね。疑ったでしょうね。

ドラマでは、いろんなところが謎のまま終わっています。結局、何が本当なのかわからないままです。それを視聴者に決めさせようとしているんでしょうけど、そういう終わり方、ホントにイライラするんですよね。考え込んでしまいます。特に、このドラマのずるいところは石黒賢さん演じるどっちつかずの男、ヨシオに最後は、不治の病で余命3ヶ月という重い運命を背負わせています。なんだか、うやむやにして、主題を遠ざけているみたいで気に入らなかったわ。それが、二股をかけた罰ということなのでしょうか。うーん、でも別に死なせなくてもいいじゃないですか。

道子の子どもは誰の子なのか

さて、妻と愛人が産んだヨシオの子どもですが、この子たちは一体誰の子なのでしょうか。まず、米倉涼子演じる妻の道子が産んだヨシミチですが、考えられるパターンは3つあります。その1、普通にヨシオとの間の子ども。二人の間には性生活があったのだから、それでもおかしくはありません。その2、道子が告白したように体外受精で産んだ子ども。この場合は本当に、ヨシオは無精子症だということになります。妻が夫にウソをつく理由はないはずですから。いや、ウソをついたとしたならば、その3、小泉孝太郎演じる書道の先生、近藤との間にできた子ども。道子は体外受精の手伝いをしてもらっただけと言っていたが、本当のところはわかりません。近藤は道子のことを好きだったみたいなので、もしかしたら体の関係を持ってしまったのかもしれません。そうじゃなければ、体外受精の相手をいちいち近藤だと公表する必要はないわけですから。

私はね、やっぱり、その2の可能性が高いと思うんです。ヨシオの母親は自分の子どもが無精子症だなんて信じたくないだろうけれども、無精子症かどうかなんて、ヨシオがその気になったらすぐに調べることができるじゃないですか。っていうか、こんな訳の分からない状況に置かれたら普通調べますよね。だから、きっと道子はウソを言っていないと思います。ウソをつくにはリスクが高すぎますもの。女が子どもを育てて行く上で、配偶者の子でないことを隠すって、すっごい覚悟が必要だと思うんです。めちゃめちゃずうずうしくないとやっていけません。しかし、このドラマの中では道子はそういう女に描かれていませんでした。ただ、純粋に子どもが欲しかったのでしょう。

マチ子の子どもは誰の子なのか

一方で、そのずうずうしい方の女がマチ子なのだと思います。イメージ的なこともあるかもしれませんが、マチ子の産んだ子どもは多分、ヨシオの子どもではないでしょう。マチ子は夜の世界を這い上がってきた女です。ヨシオに「カモ」の匂いを感じたのではないでしょうか。ちょっとお人好しで、ちょっと責任感もある。そして、お金に不自由していなさそう。もしかしたら、マチ子はいろんな男性と体の関係があったゆえに、本当に法子をヨシオの子どもだと信じていたのかもしれません。しかし、子どもが生まれてからの、ヨシオに対する態度からそれは怪しいだろうなと思ってしまいました。子どもを産みたいという女の本能が、ヨシオという男を嗅ぎ分けたと考えるのがドラマ的には面白いんじゃないかなと思います。だって、私は「ヨシオ=無精子症」説を信じていますから。先に原作を読んでしまったのも良くなかったかもしれないな。変な先入観を持ってマチ子を観てしまいました。あ、原作にもマチ子の子どもについては詳しく明かしていないのですよ。

ベビーシッターの隣人

最初、私は杉田かおる演じる和子を胡散臭く思っていました。きっと、道子の家のことを探る興味本位のオバサンで、ドラマを引っかき回す役割なのだろうと。ところが、この和子は子どもが誰の子どもかという問題よりも、ヨシミチと法子の今後の幸せを考えていたことに驚きました。本当はそれが一番大切なことなのでしょう。ドラマとして、ゲスい話は楽しいけれど、和子の存在がドラマの意義を貶めていないことに気づきました。

ヨシオは死んでしまうのだし(ここのところが納得できない一番の問題点ではあるのだけれど)、それでも、女たちは子どもと共に生きて行くのだし、事実はどうあろうと「あなたのお父さんは亡くなってしまったけれどもいい人だったわ」と言って聞かせるのでしょう。

私としては、もっと男の馬鹿さ加減をアピールしたドラマにして欲しかったわ。特に、石田純一演じる小柳さんにも、天罰を与えて欲しかった気がします。あそこを美談っぽく終わらせるのではなくて、エロジジイにも一泡吹かせてやりたかった…と意地悪な見方をしていました。あと、もうひとつ余計だけれど、石黒賢さんの胸毛のすごさが強烈に印象に残ったドラマでした。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

女の戦いの武器になってしまう子ども

正統派女バトル女の戦いの必須項目といえば略奪愛かなあと、色々考えましたが一番はこれだと思います。条件として夫婦または恋人のいる男性がふらっと浮気や不倫に走ってしまい、女のガチンコバトルが勃発するという典型的な流れに、アダルトな要素を加えた作品です。不倫相手、浮気相手が100%悪いにもかかわらず、完全なる悪者にさせないために、愛人の幼少期の家庭環境から現在に至るまでの苦労をもたせて同情を引いたり、なんの罪もない存在の子どもをバトルに参加させることで一方的な攻撃ができないようにしたりと一筋縄ではいかないちょっと卑怯な設定になっているなあと思いました。このドラマが2006年に放送ということで10年前になるのですが、当時リアルタイムで観ていて、特にラストをよく覚えています。確か男が自分で種撒いて、回収しきれずに死んでしまう無責任さに当時は呆れたなあと思い出しながら改めて観直しました。男性が死ぬことで、取...この感想を読む

4.54.5
  • 紫
  • 222view
  • 2220文字
PICKUP

不倫まみれのドロドロドラマ

道子は専業主婦。義雄の不倫以来、髪や服装を美しくして家事なども完璧にこなしてきた。しかしなかなか子供に恵まれず、婦人科に通う日々。義雄はあまり積極的に協力してくれない。義雄はクライアントの小柳につれられて行ったクラブで、ママをしているマチコに出逢う。マチコと義雄はすぐに深い仲になってしまう。道子とマチコも知らず知らずのうちに近くのスーパーで顔見知りほどの仲になっていってしまう。小柳は小柳で、道端で歌を歌う歌手志望よ少女、マユミと深い仲になっていた。人間関係はとにかく複雑に絡み合い、道子やマチコにいいよる男たちや邪魔する女たち。それでも2人は義雄を取り合い、義雄は2人にいい顔をしていく。そんな月日が流れる中、マチコが妊娠する。その後道子も妊娠する。義雄の二重生活はそのまま続くかと思われた。しかし義雄がガンに倒れてしまう。とにかく内容がドロドロとしています。みんな不倫して、みんな恋をしている...この感想を読む

4.04.0
  • まいぴんまいぴん
  • 210view
  • 597文字

関連するタグ

不信のとき ウーマン・ウォーズを観た人はこんなドラマも観ています

不信のとき ウーマン・ウォーズが好きな人におすすめのドラマ

ページの先頭へ