人を殺すことは、究極の権力だ。どんな場合でも、それは人として最大の権力の行使だ。しかも、その気になれば誰にでもできる。やられるほうは防ぎようがない。
今多嘉親
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人の心の闇という「毒」宮部みゆき原作の「杉村三郎」シリーズをドラマ化。シリーズ1作目「誰か Somebody」を前半の一話から5話まで、シリーズ2作目「名もなき毒」を後半の6話から11話まで、という構成で 放映された。そういう事情を知らずに当時見てたので、当時は少々面食らった。が、内容はかなり見応え十分だった。タイトルの「名もなき毒」にもあるが、誰の心の中にも潜んでいる心の闇を「毒」と表現し、様々な登場人物たちの様々な「毒」をリアルに描いている。「心の中で毒づく」なんていう言葉があるけど、確かに私自身も、自分の中の「毒」に怖気づいてしまうことも稀にある。「毒」ってのは、おもしろい質感だと思う。切れたり破れたり、という外科的な刺激というより、内服したり塗布したり、いずれにしても身体の内側に浸透して作用していくもので、じわじわと細胞に沁みこんでいく。「毒」と「薬」はある意味紙一重、作用の仕方も、効能も、...この感想を読む
祖父が宮部みゆきさんの大ファンと言うこともあり、一緒に見てました。逆玉の輿をした小泉孝太郎演じる杉村三郎。杉村三郎の第一印象は“女々しい”“ナヨナヨしてる!”とイライラしてくるほど頼りのない男。逆玉の輿をして肩身の狭さを感じながらも全うに仕事をこなすサラリーマンです。「名もなき毒」のタイトル通り、人は必ず毒をかかえている、と言わんばかりのドラマ。杉村三郎がひょんなことから事件に巻き込まれ、あらゆる手がかりを探してゆくのですがストーリーがちょうどいい長さで区切られて行くので見てて飽きません。杉村三郎とタッグを組むムロツヨシさん演じる手島雄一郎が重苦しくなりそうな場面をさらっとすくってくれるのがほっこりしました。淡々と事件を解決に導く杉村三郎の人間性が見れば見るほど伝わってくる作品でした。頼りない三郎が抱えてる闇がひしひしと感じられ妙に共感します。言葉はよくないですが私は杉村三郎に同情して...この感想を読む
今多嘉親
杉村三郎の「なぜ人を殺すのか」という問いに対する答え。