大地の子のあらすじ・作品解説
「大地の子」は、NHKで1995年に放送されたテレビドラマである。山崎豊子の同名の小説を原作としており、日本と中国の協力のもとで制作された。 主演は上川達也であり、そのほかの出演者は仲代達矢、田中好子、宇津井健などである。中国国内でのシーンが多い物語であるため、中国人の役者も多数出演している。 物語は、第二次世界大戦で日本が敗戦したあとの中国から始まる。満州で生活していた松本勝男は、終戦後の混乱により残留孤児となってしまう。その後、中国人の養父母に保護され、陸一心という中国名を得て成長する。しかし、中国での文化大革命の影響で、日本人である陸一心は迫害を受けてしまう。その後、日本語を習得した陸一心は日本の製鉄会社との関わりを通じて実の父親との再会を果たす。日本と中国が合同で進める製鉄所建設のプロジェクトに参加した陸一心は、製鉄所の完成を見届ける。実の父親から日本で生活することを勧められるが、陸一心は中国での生活を続けると決める。
大地の子の評価
大地の子の感想
過去の戦争に思いをはせることも時には大切
上川隆也はよくがんばったよ「大地の子」は社会派として有名な山崎豊子先生の同名小説を原作としています。その後の出版物『大地の子と私』のなかで、日中合作のこのドラマの制作について苦労した点をいろいろ語っておられました。そりゃそうでしょう、相手は中国ですもの。立ち入り禁止の場所も多ければ、書いてはいけないといわれたことも多々あったでしょうよ。それでも、そんな苦難を乗り越えて完成したこのドラマはやっぱり深い…深くて平和のありがたみを考えさせられるのです。まず、主演は仲代達矢さんなのかな?私のなかでは、断然上川隆也さんなんですけど。私は、このドラマをみるまでは上川隆也さんの存在自体を全く知りませんでした。ほとんど全編、中国語での演技ですので、中国の人、もしくはずっとあちらで生活していた人かと思ったくらいです。しかし、このために中国語を猛勉強されたそうです。すごいな。あんまりこのドラマの印象が強す...この感想を読む
中国の失政時代と現在の繁栄とのつながりの再検証に最適です!
俳優 上川隆也を世に知らしめた作品です。上川さんの演技力が非常に素晴らしく惹きこまれることは間違いありません。この作品の中で描かれる中国は、初期においては中国共産党による一党独裁体制下での統制経済にあった建国期の失政を描き、中期からは日中平和友好条約に基いて行われた経済援助の歴史を、松本家の製鉄に関わる者同士の絆を通して描いており、日中関係の近現代史を考察する資料として視聴するに値すると考えています。このドラマで描かれる中国は、日本がアメリカをはじめとする資本主義経済圏の中で物質的にも文化的にも技術の上でも豊かになっていく一方、現在のような一国二制度を取らず社会主義経済圏にあった際の必ずしも豊かであるとは言えない部分を描いています。ただし、物質的・文化的・技術面での豊かさとは別に、日中戦争によって切り裂かれた親子愛は複雑な形であれど成立すること、また現在ではほとんど語られることが無くなっ...この感想を読む