女の戦いの武器になってしまう子ども
正統派女バトル
女の戦いの必須項目といえば略奪愛かなあと、色々考えましたが一番はこれだと思います。条件として夫婦または恋人のいる男性がふらっと浮気や不倫に走ってしまい、女のガチンコバトルが勃発するという典型的な流れに、アダルトな要素を加えた作品です。不倫相手、浮気相手が100%悪いにもかかわらず、完全なる悪者にさせないために、愛人の幼少期の家庭環境から現在に至るまでの苦労をもたせて同情を引いたり、なんの罪もない存在の子どもをバトルに参加させることで一方的な攻撃ができないようにしたりと一筋縄ではいかないちょっと卑怯な設定になっているなあと思いました。このドラマが2006年に放送ということで10年前になるのですが、当時リアルタイムで観ていて、特にラストをよく覚えています。確か男が自分で種撒いて、回収しきれずに死んでしまう無責任さに当時は呆れたなあと思い出しながら改めて観直しました。男性が死ぬことで、取り合っていた存在を失い、バトルしていた女性二人が和解したなあと。ラストを観て思いました。女性の精神的な強さと男性の本能の愚かさに大人は色々と大変なんだと子どもだった自分は、実の両親の平凡さにほっとしたりしました。今では親の立場になりましたし、子どもがほしいという女性の気持ちも理解できます。今では男性の不妊治療や妊活に対する抵抗感はだいぶ薄れてきてはいると思うので、子どもが欲しい人にとってはより我が子へのこだわりは強くなっていると思います。子どもの有無でここまで男女の関係を拗らせてしまうので、やはり子どもの存在の大きさはいつの時代も変わらないなあと実感しました。大人の踏みはずしたままの道のりを強制的に修正する子どものパワーには女性としてのプライドの結晶という意味合いもあるのかもしれません。それでも、一人の人間として、人格として尊重して見守ろうと努力した家政婦の和子さんは本当に偉いなと。少しお節介ではあると思いますが、和子さんも場外で必死に戦っていたんだなと、ラストの児童養護施設で働く姿を見て思いました。
夫婦のあり方
我が家はようやく新婚さんではなくなったのですが、夫婦としてよりお互いを理解し、また相手とうまくぶつかり合わないとこの先乗り越えられないなと実感し始めました。もう勢いもなく家族としての営みが心地よく流れるようになった今、主人のことも他人(悪い意味ではなく)ではなく家族として見てしまうため、まず羞恥心というものが小さくなっているなと。以前は部屋着でさえもある程度しっかりとした服を着ていたのに、最近では起き抜けのまま過ごしていても恥ずかしいとも思いませんし、主人にどう思われようとも気にしません。ただ、主人も同じように変化していて、これを言ったら傷つくだろうなという言葉を平気で私に言ってくるようになりました。本音で言い合える関係といえば見た目はいいですが、配慮がなくなった、それだけぞんざいな扱いでもいいと思われているようで、付き合い当初を思い出しては本当に変わったなあと寂しくなりました。このドラマの浅井夫婦も、夫の無意識の一言が妻のプライドを傷つけ、ドラマの佳境を迎えてからラストまで引きずることになるのですが、妻として夫のそばにいる人に、妻たるものはこれで完璧!でも協力はしないよ。なんて態度と言動で接したらそりゃもう夫失格ですよ。夫婦というひとつの存在になっているのですから、夫婦での共同作業は夫婦二人の責任だと思います。浅井夫婦はあまりにも妻が色々と抱え込み過ぎたと思います。甘える先は近藤さんではなく、夫である義雄だったなと。でも素直に話し合えたら苦労しませんよね。夫婦は難しい。
キャスティング力
松下由樹さんは完璧にはまり役だったと私は思います。あの愛人の迫力が出せるのは大奥で春日局を演じた松下さん以外にいません。お綺麗な方だと思いますし、品の良さも仕草や声色から伝わってきますし、何よりも若くて綺麗だけでは出せないあの色気たっぷりの和装は松下由樹さんだからこそ。法子と接している母性ある雰囲気もやはり流行りの人間だから器用というわけではなく、熟し加減が最適だと思われるベテラン女優さん起用で、その采配は良かったと思います。米倉涼子さんはあまりピンとこないのですが、出来る女性像としてはあっていると思います。服装やヘアスタイルなどがおしとやかな見た目がちょっと無理があるかなあと思いましたが、プライドを持って妻としても書道家としても一歩も引かない姿勢は米倉涼子さんの凛としたイメージに合っているなあと思いました。石黒賢さんも作品によっては真面目な設定だったり、はたまた今作での不倫しちゃうだらしのない役柄だったり、どちらにも染まることができてすごいなあというのが感想です。不倫や火遊びをしなさそうなイメージがよりリアリティを強めたのかもしれません。石田純一さんとコンビのようにいつも一緒にいましたが、その対照的な姿とやはり男性同士同じかと思わせる設定は最高だったと私は思います。小泉孝太郎さんは、当時は似合わなさ過ぎて、演技もわざとらし過ぎて笑ってしまいましたが、今見返すとそれほどおかしくもないのかなあと。でも出来る男風にオールバックにしているあのヘアスタイルは今でも笑ってしまいます。近藤さんは下心があっても理性の効く男性で、小泉孝太郎さんのクリーンなイメージに合っていたなあと思いました。
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