東野圭吾さんを身近に感じられる作品
東野圭吾さんのエッセイ
この作品は東野圭吾さんのエッセイでした。著者の体験した出来事に関して感想を書くという形式のエッセイ。東野圭吾さんを身近に感じられる作品だったと思います。
「本を読むのが嫌いだった」というのは別の作品のあとがきでも言われていましたし本作品に出てきた「似非理系」の話は「超・殺人事件」という作品の中の「超理系殺人事件」という話にも出てきたので読了済みの方には感動の作品だったのではないでしょうか。
「あの頃ぼくらはアホでした」が1998年発行で「超・殺人事件」が2004年発行のようなのでどのタイミングで似非理系人間と真性理系人間の話を思いついていたのか気になるところです。
さてこの作品は東野圭吾さんの小学校~就職までの体験をもとに書かれているようですね。いつもの推理小説とは違い生の人間の経験をもとにされているので、自分にもこういう経験や考えがあった、と共感できる部分もあり、エッセイの中でも読みやすく面白い作品だったように感じます。
荒れていた中学校
この話の中に出てきた中学校は現実では考えられない荒れ方でしたよね。
本当にこのような中学校があるのかと思いましたが、現実にも授業中に生徒が教師に蹴りを入れてほかの生徒も笑っていたり動画を撮っていたりする学校が存在するくらいなので、ありえるのでしょうね。都市部に行けば行くほど私立小学校・中学校志向が強くなり、私立に行ける経済力学力がない子供が公立中学校に行くという傾向になりますしね。
どうでもいいことに一生懸命な高校時代
高校時代のパートは、男性のほうが共感できる方が多いのではないかという印象でしたね。3秒に1回は下ネタを考えていると過去言われていたこともある男子高校生。そういうこと考えていたなーと自身に当てはまる方も多いのではないでしょうか。
それだけではなく、文化祭に一生懸命になって成功したり失敗したり、目の前のことにバカみたいに一生懸命になる青春時代も高校生の時の自分を思い出して懐かしい気持ちになりますよね。
失敗した大学受験
第一志望校に合格できなかった人や浪人経験のある人ならかなり共感部分の多いパートだったのではないでしょうか。合格した大学には金銭的な問題で進学できず、その大学に受かったのだから大丈夫であろうと思って受けた大学には不吉な前兆そのままに不合格。そして浪人時代には周りのレベルについていけず遊び、現役時代と変わらないタイミングで焦り始める・・。昔も今も同じような人間がたくさんいるのを知っているので笑えました。
売れっ子の作家ということで自分とは違う世界の人間、雲の上の存在のように感じてしまいますが、同じような経験をしたことのある人からするとこのパートで東野圭吾さんをぐっと近い存在に感じることができたのではないでしょうか。
深く考えなかった就職活動
大学受験の経験に加え、就職活動のパートも、経験者からするとかなり共感できる部分があったように感じます。特にここにいきたという大学があるわけでもなく、推薦枠を争うにあたり競う相手の様子をうかがいながら希望を出す・・。学生が企業を選ぶ時代と言われる現代でもやはり大手企業志望という点で考えると同じようなことがありますよね。
また、志望理由が明確で第一志望の企業に就職するために並々ならぬ努力をする人のほうが全体を見ると一握りかと思われますので、「なんとなく就職活動した」という経験のある方はうれしいパートだったように感じます。
かくいう私も就職活動にそこまで努力をしたわけではないので共感した読者の一人です。
理系ではなかったので同じでない部分も多々ありますが。
世代が同じであればさらに楽しめる作品
この作品は「時代が反映されている作品」という印象が強くありました。私は少し世代がずれているせいで共感できなかったり懐かしめなかったりする部分がありましたが同世代の方にはたまらないのだろうな、ということがわかりました。バミューダパンツという単語はそもそもこの単語を知りませんでしたね。
ビートルズはどの世代であっても名前や数曲は知っていますが、この時代どれほど人気があったのかということがひしひしと伝わってきましたね。当時チケットを一生懸命求めてまわったりレコードを買いあさったりしていた方にとっては懐かしくてたまらない内容だったのではないでしょうか。
さらに怪獣映画やウルトラマン、ウルトラセブンの話などはさっぱりでしたが当時はまっていた同世代の男性からすると何時間もこの話ができるのだろうと想像できます。また、高校時代で出てきた燃えよドラゴンやブルースリーの話も同様ですね。
はまって真似をしたり自分も強くなったような気になってりしている男子高校生の姿の描写はほほえましかったですね。
まとめ
はじめにも述べましたがこの作品は東野圭吾さんはこんな人なんだ、と有名作家東野圭吾を身近に感じられる作品であり、小学校・中学校・高校・大学・就職という人生の過程を通して各時代に自分に似たような経験があり共感ができます。
さらに同年代の方には大変懐かしい作品だったと思います。最終的に作家になったという経験を除けば小学校から就職までほぼ同じ軌跡をたどったという人がいてもまったくおかしくはない内容だったように思います。推理小説などでは登場人物と自分の境遇が違い過ぎたりと起きることが突拍子もなかったりと身近に感じることが難しいのですがこのエッセイでは身近さというものを十分に感じられると思います。エッセイなので当然といえば当然ではあるのですがそれを書いたのが有名人気作家東野圭吾さんというのがみそですよね。
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