めだかボックスの設定に物申します - めだかボックスの感想

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めだかボックス

2.752.75
画力
2.75
ストーリー
2.00
キャラクター
2.25
設定
2.50
演出
3.25
感想数
2
読んだ人
7

めだかボックスの設定に物申します

3.03.0
画力
3.5
ストーリー
2.0
キャラクター
2.5
設定
2.5
演出
4.0

目次

安心院なじみが獅子目言彦より弱いのはつじつまが合わない

意外性で読者を驚かそうと、捻くれた物語を展開しようと
意識しすぎている傾向が強いと感じます。

それが度々違和感を生じさせてしまっています。

その理由を語るには、作中屈指の二人のチートキャラ安心院なじみと不知火半纏のスペックを考察する必要があります。

作中のナレーションで安心院なじみは全知全能と保証されました。
宇宙誕生よりはるか以前から生きてきたと本人も語っていますのでナレーションは一定の信用度があると仮定します。全能系キャラ

(「全知全能のパラドックス」以外なら人間の考える能力をほぼ全て行使可能な存在を指す)をハッタリだけの実際には出来ない事ばかりだと馬鹿にされないように
「1京2858兆519億6763万3865個のスキル」を800個以上も大量に描写しています。
特に一度に600個ものスキルを使ってみせ、マニア達がやっている全創作物の最強議論で
名前が上がるキャラなら、備えている超チート能力と似ている物が安心院が使用したスキルの中に
含まれています。 600個のスキル名をびっしり敷き詰めて書く事で漫画の話題性も同時に
狙う試みは面白い作戦だと思いました。

しかし、その後の展開は納得がいかない点が多々あります。
「敵より強いスキル」「より強い者に勝つスキル」「言葉が実現するスキル」「無限を操るスキル」「例外を設けるスキル」「敵が強いほど強くなるスキル」「主人公補正のスキル」「地の文に干渉するスキル」「スキルを使い熟すスキル」

ピックアップしたスキル群に額面通りの事が出来ると正直に受け取った場合、上のスキルを全部同時発動するだけで、理論上存在するかもしれない全ての宇宙を消せるキャラを超えて無限に強くなり、

あまりの強さに差がありすぎると、どんな凄いチート系も無効になるという宇宙破壊能力持ちキャラがまとめて瞬殺される某ノベルゲームで有名になった設定と同じ理屈で無敵と化し、

作品と設定をまとめて食って打ち切りにするという最強議論御用達の外国の漫画のメタキャラにも負けない可能性を持つかもしれません。これらは私の想像で最大限に解釈した場合の話で、実際に漫画内では断言していません。

次に不知火半纏の事も、詳しい読者さんならご存知だと思いますが「スキルを作るスキル」は
矛盾さえなければ無限にどんなスキルでも作れます。

宇宙も次元も時間も操るスキルが作品内に存在している事を踏まえるとこれも言葉通りの意味だと考えて差し支えないはずです。

このような、哲学的で誰にも理解できないほど複雑な理屈で勝利するキャラと戦わない限り、負けようが無く世界中の商業出版創作作品と強さ対決の考察をしても、全勝しそうなやり過ぎ設定を安心院と半纏に与えてしまったのに、それより強いと言わしめるキャラを最後の敵としてしまったので、西尾維新さんの設定構築能力が疑わしくなってしまいました。

絶対に全てのスキルが通じない、寿命で死ぬ、地球に月を激突させると巻き込まれて死ぬかもしれない獅子目言彦が安心院をかませキャラとして殺した事で、さらに凄い強敵が出た興奮を感じる以前に、 究極にまで盛った全能が設定倒れでしかないという気分がつきまといました。

実際に宇宙やその外の高次元までスキルが及んだ描写が一切無いまま、漫画が完結した事も読者の 「全能設定」への信頼感を損なっています。

言彦は弱点が多いので安心院や半纏のスキルで勝てる

安心院は全スキルが効かず言彦に1億回以上敗北し1度も勝てませんでしたが、そもそも言彦に勝つ方法がよく考えるといくつか思い付きます。

そのうちの1つの攻略法の説明にネット小説「大魔王が倒せない」から大部分の発想をお借りします。

「言葉が実現するスキル」と「スキルを使い熟すスキル」を使い、あらゆる宇宙、全時間、全並行世界、全次元まで調べ上げて、最強の存在かそれに近い存在を、言彦に敗北する可能性を消す為に複数体召喚します。 

注意点は最強すぎると、どんな強力な召喚方法も無効化されたり、召喚しようとした瞬間に全宇宙が消滅する可能性がある事です。そもそも地球破壊で言彦が死ぬと仮定すると、そこそこの強さの者を召喚したほうが安全かもしれません。

獅子目言彦のようなタイプの人間を殺したがる性格で強者を探すという条件付けは必須です。言彦より強い存在に洗脳などが通用するのは変だからです。パラレルワールドはありとあらゆる選択の場面で分岐して増加し続けるという考え方がよくあるので、全ての世界を探し続ければ言彦を倒せる者が存在しているはずです。

一番簡単なのは、自分を憎んでいたり、自殺願望を持つパラレルワールドの獅子目言彦を大量召喚して同士討ちさせたい所ですが言彦はスキル無効体質なので、召喚する事も探す事も不可能でしょう。

「言葉が実現するスキル」で不可能なら半纏に、前述の条件が実現可能なスキルを作って貰えば済む事です。

他にもネット上の考察で安心院を言彦に勝たせる方法として、三次元宇宙に言彦が一切干渉不可となるようなスキルの使い方は、人並みの寿命しかない言彦はいずれ安心院より先に死ぬので上手いやり方だと感心しました。 他人様のアイデアなので詳細は伏せさせて頂きます。

めだかボックスのメタフィクション設定の考察

安心院なじみは、漫画の読者に向けているとしか思えないような発言を幾度もしていましたが
シミュレーテッドリアリティという一種の思い込みをこじらせて、めだかボックス劇中世界を漫画だと思っていたという真実は意外性抜群で素晴らしい設定だと思います。

しかし、本当に彼女の思い込みなのでしょうか? 宇宙レベルの超絶スキルすら通用しない獅子目言彦の存在は、この世界が漫画だという安心院の認識こそが真実なのではと思わせてくれます。

言彦にとってスキルの無効化は、紙に書かれた能力の説明書きを破り捨てるというイメージでめだかが解説をしています。

少し話が逸れます。最強キャラについて調べるとほぼ確実に某ノベルゲームの能力無効化系キャラの 説明が出てきます。
こいつの強さ表現で、多元宇宙全体の時間を丸ごと宇宙開闢まで巻き戻す能力だとか、
多元宇宙全体よりさらに上の次元の時間を止める能力だとかを、絵に書いた攻撃で現実の存在を傷つけようとするぐらい無意味な行為で、
それがそのまま能力無効系キャラとの埋めがたいほどの力の差を表しているという設定があります。

西尾維新さんは、安心院なじみの能力をガチガチの最強設定として作り込んだ時と、安心院より強い 言彦を設定するにあたり、おそらくこの某ノベルゲームキャラにインスピレーションを受けたに違いないと思っていました。

しかし紙に書かれたスキル効果を破り捨てるというのが、漫画的表現だとすると言彦に全能系のスキルが効かないのは彼がメタフィクション的な作者からの補正を付けられたキャラだからで、

安心院は全知全能であるがゆえに自分達の世界が漫画だと薄々気づけたのではないでしょうか?

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