初めての大人の男性
どっちもカッコ良い
私が『シティーハンター』を知ったのは中学生の時でした。アニメもスタートして、主題歌もかなり人気が出ました。原作とアニメの違いは大幅な違いはありませんが、やっぱりアニメの方が声や音が入るのでより感情移入しやすいですし、オリジナルストーリーもあって楽しめました。でも、原作には原作の面白さがあります。小さなコマの中にわずかなギャグが隠れていたり、原作にしか登場しないキャラがいたりするのを見つけるのもまた楽しいです。それに、原作の冴羽さんの方がよりダークな感じがして好きです。結局、アニメバージョンも原作バージョンもどちらもカッコ良い事には変わらないんですけどね(笑)。アニメ化になるとどうしても比較してしまい、アラを探してしまうんですが、『シティーハンター』に関しては両方とも大満足の作品です。
いつまでも続いて欲しかった
新宿駅東口にある伝言板に「XYZ」と書いておくと、シティーハンターと呼ばれる男がなんでも解決してくれる。警察に相手にされないような事件を次々と解決してくれるシティーハンターの話しを最初に見た時には、「初めて大人の世界」を見たような気持ちでした。それまで少女マンガしか見てこなかった私としては、冴羽さんのような大人の男性は初めてでした。女の子が喜びそうな甘い言葉を言う訳でもなく、三角関係が起きている訳でもないのに、なぜこれほどまでに素敵なんでしょう?それは、私が初めて「大人の男性」を意識した瞬間なのかもしれません。ただ、「もっこり」だけはかなり驚きましたが(笑)。男性の体ってこうなっているんだと一瞬思ってしまいました。それに、麻薬密売組織であるユニオンテオーペ」の存在もかなりショックでした。エンジェルダストと呼ばれるその麻薬のせいで、冴羽さんは相棒の槇村さんを失ってしまうんです。おまけに香さんの出生の秘密まで出て来て、そんな展開になるとは思ってもいませんでした。でも、そんなハードボイルドの世界も適度に入れられたコミカルなシーンのおかげで暗くなりすぎずにすみました。でも、そんな楽しいストーリーも海原の登場で一気にシリアスモードへ突入です。まさか、冴羽さんの過去があんなに過酷なんで思ってもいませんでした。事故で両親を失い、ゲリラの村で育ったなんて信じられませんでした。おまけに父親と慕っている海原に、エンジェルダストを投与されるなんて。あんまりですっ。その時、冴羽さんはどう思ったのでしょう。父親のように慕っていた海原がまさか自分にそんな事をするなんて思っても居なかったはずです。彼と再会した時に、冴羽さんが一粒だけ涙を零しました。あの涙の意味は一体なんだったのでしょう?すっかり変わってしまった海原に対する哀れみだったのでしょうか。それとも、自分が海原を倒さなければいけないという複雑な想いからだったのでしょうか。結局その涙の意味は分かりませんでした。そして、海原もまた辛かったのかもしれません。彼だってこんな形で冴羽さんと再会したくなかったはずです。この海原との決着の話しは今までになくダークでした。そして、今まで隠して来た冴羽さんの素顔がほんの少しだけ見えた気がします。ガラス越しのキスシーンで香さんに対する気持ちもわかりました。海原との決着がついたら二人は結婚するのかな。なんて思っていたら、まさか海坊主さんと美樹さんが結婚するとは。これまた驚きです。いつになったら冴羽さんと香さんは公私ともにパートナーとなれるのでしょう?でも、ずっとこのままの二人も見ていたい気がします。最終巻でセリフはありませんがいつもの日常が戻ってきます。見たかったのはこんないつも通りの二人なのかもしれません。
必要不可欠
『シティーハンター』といえば、数々の小道具が登場します。冴羽さんの愛用しているコルトパイソン357マグナムもそうですが、手榴弾やロケットランチャーなどまず日常生活ではお目にかかれない物から、100トンハンマーやこんぺいとうなどの香さん愛用(?)の非日常的な道具まで様々なのですが、私が一番気になるのは冴羽さんの愛車。そうですっ。ミニクーパーなんですっ。なんでしょう、あの小さくて可愛い車が気になって仕方がないのです。小さいだけあって小回りもきくし、丈夫そうだし、何よりもあんな大きな男の人達が乗れる車なんてそうそうありません。ミニクーパーはもともと1959年にイギリスにあるBMW社が販売した車らしく、現在でもかなりモデルチェンジはしましたが、人々に愛されている車です。おそらく、狭い路地が多い東京の街並みを走るのにふさわしいのがこのミニクーパーという事で選ばれたんだと思います。街を歩いていると時々、このミニクーパーに乗っている人とすれ違ったりします。その時はやっぱりついジッと見て、シティーハンターの事を思い出している自分がいます。
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