つじつまが微妙に合ってない気がするがカッコいい - ハンコックの感想

ハンコックはいつからこうなのか

ハンコックは不死身の体。どんなミサイルも彼の前では無力そのもの。誰も彼を止められない。そんな強靭な肉体と、空をも飛べる力を持つハンコック。当時この映画を見たときは相当なお気に入りだった。ただのヒーローなんかより親近感があるし、カッコよさがあったからね。

確かに、犯罪者をとっつかまえるために道路なり店なり、器物損壊が激しいのがハンコックの悪いところだった。酒を飲みながらゆらゆら飛んで、犯罪者を捕まえてあげるハンコック。犯罪を行う者にとっては脅威だったし、もちろんその際の被害を被るほうにとっても脅威だったから、ハンコックは厄介者扱いされていた。誰かと楽しい夜の営みに乗じてみても、体から飛び出るものによって危うく相手を殺してしまうような…誰とも交わりを持てずに孤独に生きている彼が、ちょっとかわいそうで、やさぐれても仕方ないんじゃないだろうかと考えてしまったね。

いったいハンコックとは何者で、どこにその由来があるのか。それは全然明かされることがないのだが、3000年も１人で生きてきたのかなーって思ったら悲しいよね。3000年一人だったっていうのは後からわかることなんだが、その間にどういう経路で記憶を失ったんだとか、もっと細かく教えてもらいたかった。

もう少し真面目に働けばいいのに。そう思っていても誰も言ってあげることのできないなか、踏切で動けなくなったレイをたまたま助けたところから、ハンコックの人生は変わり始める。

レイとの出会い

レイって超いいやつ。自分を助けてくれたハンコックに素直にお礼をしたいと思う彼。ちょっぴりハンコックにビビっている雰囲気もありつつ、ハンコックをもてなそうとしているのがよく伝わって、いい演技だった。レイに出会って、ハンコックは自分が正義のヒーローだっていうことを証明するため、敢えて刑務所に入ることにする。

刑務所の中でもハンコックはハンコックだったんだけど…彼がシャバに出れない間に、凶悪犯罪は確かに激化。おかげで警察が逆にハンコックに出てきてほしいとお願いする。レイ、君の作戦は大成功だね。押してダメなら引いてみろってことかもね。それにしても、頭をケツにつっこまれた囚人たち、かわいそうだった…ケツも痛いだろうが、頭が汚れちゃったほうがすごくかわいそうだ。

レイはハンコックと自分の妻メアリーが惹かれあうところも目の当たりにしなければならなかったわけで…それはそれでせつないんだけれど、メアリーを信じているレイが素敵だった。いい夫。そしていい息子だね。メアリーの子ども…なのかな。いや、レイの連れ子…かな？メアリーの遺伝子が後世に残ったらやばくない？3000年の間に遺伝子を残し続けていたら、最強遺伝子がいっぱいいることになっちゃうじゃんね。こんな特殊な構造の生物は、きっと地球上にはハンコックとメアリーしか用意されていないんだろうなと思うよ。アダムとイブ的な存在であり、人の中で生きていくんだろうなー。いつか同じような存在が生まれたら何か変わるのかなー…。

ハンコックとメアリーの恋路

3000年生きてきている間に、何度となく惹かれあってきたみたいだが、そのたび別れを選ばなければならなかったんだなー…ってせつない気持ちになった。好き同士なら、別に人間になっちゃってもいいんじゃないかなーって思う気もするけど、ハンコックとメアリーの強さはどの時代でも必ず知れ渡っていたはずだし、何度でもめぐり会いたいとか考えたら、ずっと生きていくために離れることを選択し続けるっていうのもありなのかなーって思った。

ハンコックがどのタイミングで忘れちゃったのかはわからないけれど、メアリーはちゃんと覚えていたみたい。そして各時代で恋人も作ってたんだろうなー…上手ね。ハンコックは不器用そうだから、うまくはできなくて、記憶消えるほうを選んだのかもなーとか、深読みしてしまった。で、結局思い出してしまったわけだが。それでもこれからは、お酒飲みまくって荒くれ者で生きていくより、メアリーを見守りながら、人を守って生きていってくれる気がするね。ハンコック達があと何千年生きていられるのかはわからないことだけど、見た目から考えて、あと3000年以上は生きていきそうだよね。記憶の蓄積は全部されているのかな？度忘れすることもあるんだろうか？どこかのタイミングでまた同じような選択をしてしまうこともあるのかなー…またハンコック2とか見てみたいなー…そのときにハンコックとメアリーがどうなっているかを知りたいわ。

これからの生き方

レイはメアリーと添い遂げるよね。レイはメアリーがどんな存在であっても愛していくんだろうなーと思う。メアリーもね。でもレイは歳を取っていくわけで、メアリーの歳をとるスピードはずっと遅いだろうから、違いが浮き彫りになる前に離れていってしまったりするんだろうなー…息子とも離れなくてはならないんだろうし、そのとき何を選択するんだろうとか、超気になる。だからハンコック2が見てみたいんだよ。第１作を知っているからこその楽しみ方が絶対ある気がする。

どちらかと言えば、ハンコックの生き方は想定しやすいが、メアリーの生き方がかなり選択肢があると思うんだよね。そこを教えてもらいたい。もしかしたら、メアリーが記憶失ってるパターンもあるかも。そして出会えば必ず思い出す。ハンコックのほうが明らかに体のつくりがかわいそうだから、ハンコックはずっと独り身だろうなー…って思うから、心配なの。荒れて酒ばっかり飲むようになって何百年も経ってしまったから記憶がぶっ飛んだんだろうなー…とかは簡単に思いつくんだけど、その他にもエピソードがあったかもしれないし、映画じゃなくて小説ならもっともっと奥深い物語だと思う。

ずっと生きていられるのなら

ハンコックとメアリーみたいに体が丈夫じゃなかったとしても、長い間生きていられたら、見える世界はどんな感じなんだろう？でもそれは、長生きできる人と長生きできない人がいて、そのありがたみを感じたり、生きていられる時間の間に見えるものがおもしろかったりするんじゃないだろうか。何千年も生きていたら、天変地異もたくさん知っているんだろうし、１つ１つの出来事に何を感じるのかなー…とか考えてみたりする。そうすると、なんか楽しいし、いつもとは違う時間の流れを感じられる気がする。もしずっと生きていられるなら、目的がどうとか、最終的な結果がどうだとか、そういうこと言わないじゃん。たいていのことはどうでもよくなるのかもしれない。感情の機微も減るかもしれないけど、小さな悩みとかは絶対どうでもよくなるなーって思う。少しでも長く生きたいと思う、お年寄りの気持ちがわかるね。なんといわれようが、長くしがみついていたい。

ウィル・スミスが出ている映画って、どんなジャンルであれ絶対チェックしてしまう。それって、ウィル・スミスの大御所ぶりというより、演技のうまさ、せつない雰囲気とかがどの映画でもハマっているからだと思うんだよね。シリアスなシーンもふざけたギャグシーンも良く似合うから大好きな俳優だ。この映画の終わり方はよかったような、悪かったような、去り際が物悲しい雰囲気だったのは間違いない。それを続きが出ることで払拭できるんじゃないかなーって思うなー。ハンコックの後継者でも出てきたら嬉しい。