おもしろくなりそうなところで広がらずに終わった
ラブが雑に扱われている
うたい文句は「SFラブコメ」であるが、SFってどこからどこまでを言うのやら…まじめな展開はほとんどなく、一生懸命に頑張っているのは主人公のトビくらいなもの。あとはギャグ漫画一直線で、オトナも子どももみんな銀魂臭がする奴らである。
おんぼろ町工場の息子であるトビは、誰にでも優しいイケメン。身も心も清い真面目なイケメンである。会社がつぶれそうなのをわかっており、それを建て直そうと手伝いに励んでいるのがまた健気。学校でもクラス委員であり、爽やかな奴である。トビに恋する幼なじみのそらはかわいいギャル。目がくりっとしておりマジタイプ。そんな2人のもとに、事件は突如として起こる。
よくわからないが、突然インベーダーが出てきてそらをビームで攻撃。そらはレゴブロックになってしまった…全然怖くない。おもしろくない。しかも、時間が経つと変身はとけると判明。いったい何なんだろうこのレゴ化…。ついに来たか…という形で、実はトビのおんぼろ工場の地下にインベーダー対策支部があったと判明。研究や駆除のために日々活動していたらしく、そらのインベーダー化を治そうと、人間に協力的なインベーダーを呼び出すことにした。
はぐれはこんな感じで登場する。13年前に何があったかは謎なのだが、謎を秘めた始まり方はなかなかいい感触。トビがとにかく好みだったので、けっこう期待していた。下ネタはまぁしょうがないとして、さほど危険そうでもなく、明るく楽しめそうな漫画。
女の子が必死だとやっぱり引くと思うんだ
はぐれの狙いはトビの下半身である。なぜトビなのかは、13年前にあったという出来事に起因している様子。種の存続のために繁殖することを常々考えているトビは、もういい加減にはぐれがうるさすぎるので、少しくらい寄付してやればいいと思う。毎日要求されてむしろ光栄だと思ったほうがいいのに…真面目なトビにはできない相談。
というか、はぐれもその行為の全容をわかっていないと思うのだが、どうだろう?攻めまくってるわりに、実際にはどうやったらいいのかわかっていない…というパターンだったんじゃないだろうか。もしくは、魚みたいに体外で可能なのがインベーダーなのかな。とりあえず、繁殖に愛はいらないらしい。
個人的には、はぐれが受け身になる時をずっと待っていた。しかし、そんなイベントに出会うこともできずに2巻で終わっちゃったんだけどね。
インベーダーと戦闘するときには、トビははぐれとドッキングしなければならない。エネルギー源が性欲になってて、キーになるのはそらなんだが…いや、ちょっとあまりに露骨じゃありませんかね…戦いたいのにそらを原動力にしなければならないなんて、本気出したらその分盛ってるってことになるじゃないか。真面目なトビにとっては複雑。反応も剣に如実に出るし、この戦い方だけはやめてほしかった…。はぐれが異様にトビに迫るだけでよかったのに、ギャグにしすぎだろう。2歳のトビに対して性的欲求をぶつけていたはぐれもだいぶおかしいが、それは宇宙人だし価値観が違うのだろうね。
インベーダーウイルスのくだらなさ
ウイルスにかかってレゴブロックになるけど、死ぬわけじゃない。しかもタイミング間違えなければ元に戻る…もうそんなウイルスは楽しんじゃえばいいんじゃないか?治る方法は気長に研究したらどうだろう…その間にトビは別の誰かと結婚しちゃうかもしれないけどね。
割と早く種明かしがあって、トビにムラムラするとレゴブロック化するとわかったそら。トビがレゴブロックでもいいよって言ってくれたらそれで解決しそう。そりゃ助けてやりたいけど、くだらないウイルスだよ。
オトナたちが必死に研究していると言っているが、結局身が入ってないのは危険性が低いからなんじゃないかなと思う。背景的には、それなりに考えを巡らせてくれそうだったのに、結局はギャグ路線で、ストーリー性もおもしろさも中途半端になってしまったことが打ち切りの原因なのではなかろうか。ギャグならギャグでオチを良くしてもらわないといけないし、ストーリーをそれなりに厚くするならもっとそらの状態を深刻にするか、謎めいた部分を小出しに出していかないと、物足りなくなってしまう。
はぐれの世界について
はぐれのお友達も相当困ったやつで。間違いなく相手を傷つける言葉をチョイスしているので、そりゃー嫌われ恐れられても仕方がないと思うよ…。はぐれのことが好きすぎてそうなってるってこと、関係者は気づいているくせに誰も指摘してあげないこの怖さといったら怖すぎる。翻訳なしには誰もその真意を読み取ることができないという、残念な人物だった。それなりにおもしろかったけどね。ただのモラルハラスメントになってた。その真意をはぐれが認識するまでしっかりと描いてほしかったなーと思う。できれば、はぐれ・そらだけでなく、朝霧さん、この男の子のすべてが全員トビを狙ってわちゃわちゃしてくれたらよかった。フォルムが好きなので、いろいろな妄想ができてしまうんだ。
はぐれの世界の登場人物が出てきて、はぐれたちのマザーの意思、実はインベーダーにも役割があった話、はぐれが何らかの盾になって人間を守ったという話…いっぱい面白そうなネタが投下され始めた。お、深さがようやく出てきたか!と思ったね。宇宙だって地球を生んだ世界なのだから、完璧なものだけじゃなく不完全なものがいっぱい転がっているんだろうし、生命体が生きていくための苦労があるんだろうと思うんだよ。そういうのを深く見せてくれないかなーって期待したが、過度な期待だった…。実はそらが最強インベーダーに変貌するとかさ。
謎を勝手に想像してみる
おもしろいと思ってた。でも打ち切りなんだよ。そりゃ、はぐれがなぜトビを求めているのか、「13年前」という明確な数字を出しておきながらまったく明かされない。バタバタしてそのまま終わってしまった物語だった。若干トビの取り合いを想像して盛り上がったんだが、そういうこともなかった。
しかも。トビは実は養子だったんだよ!と明らかにしたところで終わってる…悲しいとか衝撃とかもなく、さらっと過ぎてしまった。妄想の中では、はぐれが異常にトビを求めている理由はトビの血縁関係にあり、地球人のDNAと宇宙人のDNAが混ざることで究極の遺伝子が出来上がっているのだ!みたいなね。トビは記憶がないけれど、13年前までは驚異的な能力をいかんなく発揮して宇宙人っぽかった、とか。想像でね。そしてはぐれはそのトビの強さに可能性を感じてて、絶対子孫が欲しいと思った。とかね。
おんぼろ工場の地下インベーダー対策室のオトナたちはクズばかりで役に立たないので、もはやギャグ要員。大事な時に助けてくれない!そんなオトナたちの本気があって、インベーダーとの最終決戦に勝利する!って言ってほしかった。
話が全然違うことになるが、そらがインベーダーになっちゃうより、トビがインベーダーになっちゃうほうが見てみたかったなーと思う。で、それを治せるのははぐれだけの能力で、それを治したと思ったらもう死にかけ状態になり、トビがラスボス倒して終了する…そんなラストもおもしろそうだ。
最終的に、そらとトビがうまくいってくれたら嬉しいなとは思っていた。はぐれに横からかっさらわれるのはかわいそうだし、見た目がそらのほうが好みだから。ただそれだけの理由なんだけどね。
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