人のために生きる
人生の目的
佐藤健さん演じる秋山篤蔵は、カツレツを食べたことに衝撃を受けて、それからこっそり料理を習うようになりました。このことが人生の転機となって人生の目的を見つけましたが、兄の周太郎も日本大学の法学科に通っており、司法の道を志していましたし、後の妻俊子も結婚後産婆の道を歩みます。また、桐谷健太さん演じる松井新太郎は絵の道を志していたり、とこのドラマでは皆、人生の、生きる目的をはっきりと持っており、それの為に一生懸命です。
私もその一人でしたが、将来何をしたらいいのかわからない、夢がない、何の為に生きているのかわからないという人は少なくないと思います。そういった人にとって、このドラマに出てくる人たちはどんなに辛い道であろうともとても魅力的で、かつ羨ましく、逞しく映ります。学歴だけじゃない、やりたいことを懸命にやることこそが重要なのだと伝えてくれる作品です。
人の為に生きる
また、このドラマに出てくる人たちは、人の為に生きています。
特に兄の周太郎と、妻の俊子は、篤蔵にこれでもかというくらいのことをしています。私が二人の立場だったらできるだろうか?いやできない。と思います。
周太郎は山を売り、そのお金を篤蔵に渡すことで自分の無念さを晴らす、と手紙で言っていましたが、あの手紙の文章はとても泣けてしまいます。私はその病気ではないので辛さは想像でしか分かりませんが、じわじわと死が迫ってくる恐怖というのは、若かったら尚更恐ろしく、また、結婚もしていない、恋人もいないのでは寂しさは尋常ではないことは分かります。
その時に、弟が自分のお蔭でパリに行けたんだ、と思うことが救いになったり、弟が頑張っている姿を想像したりすることで気が紛れたりするものなのかなと想像しました。それでも悲しいですが。
また、後に妻になる俊子ですが、一旦身を引いたり、基本的に昔の女性だからそれが普通なのか、篤蔵を常に立てていて、こんな女性と結婚で来て篤蔵は本当に幸せだなと思いました。
身を引いた後もう一生会えないかもしれないのに、鈴を持ち歩いていたところ等、とてもけなげで可愛らしく、病気で死んでしまった時には本当に気の毒でした。
タイムスリップしたみたい
フィクションとはいえ、実在した料理人の長い料理人人生を描いた作品なので、全ては書ききれないのですが、観終わった後は長い長い夢を見たような不思議な感覚に陥りました。恐らく、建物や着ているものなど、時代考証がしっかりとしているので、タイムスリップしていたような気になるのも一因だと思われます。
このドラマを見て、こういった人がいたという事を知った、というか見るまで天皇の料理を作っている人のことを考えたことがなかったのでそういう意味でも興味深かったです。
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