6代目ジェームスボンド - 007/カジノ・ロワイヤルの感想

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6代目ジェームスボンド

5.05.0
映像
5.0
脚本
4.5
キャスト
5.0
音楽
4.5
演出
4.5

目次

ダニエルクレイグ演じるボンド

007は知る人ぞ知るスパイ映画であり初代ジェームスボンドであるショーンコネリーから見続けています。スパイ映画として抜群の安定感があった007ですが近年ではスパイをテーマとする映画が増えており昔のような新鮮さがなくなってしまったのも事実です。そんな少しマンネリ気味だった007をこのカジノロワイヤルが一気にスパイ映画最高傑作にさせたと思います。それはなにより6代目ジェームスボンドであるダニエルクレイグの魅力だと思います。歴代ボンドも当然色気があり知的で魅力的なのですがダニエルクレイグは歴代ボンドたちと少し違った魅力があります。まず見た目から言えば歴代ボンド達は背が高く言えば男臭い印象、ダニエルクレイグがボンド役に決まった頃は金髪だし耳が大きいし背が低いと散々の言われようで007好きにはキャストミスなんじゃないかと思われるほどでした。現にダニエルクレイグが演じるボンドを見ると007のイメージが崩れると作品を観ない人もいるとか。私も実際少し観る事をためらっていたのですがいい意味で裏切られました。ダニエルクレイグボンドの最大の魅力は洗練された都会的なボンドというところ。魅力を感じる男性像は時代時代で変わっていき昔のようなボンドをキャスティングするとその時点で違和感を感じる観る者が離れていきます。それほどキャスティングとは映画においてとても重要で今回のキャスティングは大きな賭けだったと思います。ですがダニエルクレイグが演じるボンドは身のこなしから着こなしまで全てがスマートでだからといってスマートすぎずワイルドな部分も兼ね備えています。時より見せる肉体美からも分かるように徹底した役作りに取り組んでいる事が見てとれます。お洒落で洗練された現代の女性からも魅了され男性からも憧れるボンドが生まれたように思いました。

冒頭から始まるアクションシーン

歴代007では冒頭からアクションシーンが目白押しといったシーンは一切なく中盤から後半にかけてアクションシーンで盛り上げていくのが特徴でした。しかしカジノロワイヤルからは冒頭からテロリスト犯をこれでもかとしつこく追います。どうやって撮影しているのかと思うほどのシーンの連続で落ちたら即アウトの工事現場の高層階に上がり鉄骨によじ登り綱渡りするシーンなど手に汗握る攻防の連続です。壁を歩いているかのように登ったり平然と壁を飛び越えたりするシーンは今までの007にはなく新しい試みのように思いました。こういったシーンは全てパルクールというそうでダニエルクレイグがパルクールをしているシーンだけでも観る価値があります。まるでゲームをしているように軽々と飛んだり登ったりしていますがスタントマンなしで冒頭のシーンを撮っていると聞くと改めて興奮させられました。そして物語はそれでも尚ナム仏大使館に入ったテロリスト犯を追いかけナムブツ大使館を爆破させるシーンも強烈なインパクトです。エリプシスいうキーワードを手に入れたボンドはエリプシスの実態を探るようMに支持され新たなるテロリストとの戦いへと入っていくのですが次の戦いはナムブツ大使館どころではない大量の犠牲者を伴う大規模なテロ計画でした。犯人のテロ実行を食い止めるべく暴走した車に飛び乗ったり体当たりのシーンが光っています。窮地を脱出し人々の命を救ったボンドですがMには度々やりすぎと叱られるところも面白くてクスッと笑ってしまいます。決してアクションシーンが多かったわけではないのですが質の高いアクションシーンが観れる作品になっています。

ヴェスパーへの深い愛

今までの007では女性に対して本気の恋愛はしませんでした。ボンドの魅力に次々と美女たちは体を許し関係を持ちますがあくまで一夜限りの関係。そんなボンドが本気で愛したのがエヴァグリーン演じるヴェスパーです。ただ綺麗なだけではなく知性と教養を身につけており世の男性を虜にするようなそんな女性がヴェスパー。彼女には心に抱えた深い闇がありその闇が影のあるヴェスパーの魅力でありボンドでさえも深く愛していくところが観れとれるところも良かったです。そんなボンドに対し最初は冷たい女を演じていたヴェスパーも心を開くようになっていき自然と互いに惹かれあっていきます。大人の女性から少女のような笑顔を見せるところはヴェスパー演じるエヴァグリーンの魅力だと思いました。今までにはなかったボンドが愛する女性に向ける眼差しや表情が女性の私からするとすごくグッとくるものがあります。ボンドは007として生きるのを辞めて普通の男性としてヴェスパーと生きていくというそんな二人の覚悟なる愛は永遠に続くと信じたかったのですが現実はそうはいきません。ヴェスパーに裏切られていたと悟った時のボンドの表情、そしてボンドを裏切ってしまったヴェスパーが最後にボンドの手をとり頬に寄せるシーンは切なくて涙してしまいました。ヴェスパーが最後に自ら選んだ道をみてもボンドへの愛とボンドを裏切った自分への罰。きっとボンドにとってヴェスパーが心から愛した最初で最後の女性と感じる事が出来ました。

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他のレビュアーの感想・評価

最もタイトなスーツを着たボンドが現れた

多くを語る無口な男これまでの私の中でのジェームズボンドのイメージは、ショーンコネリー、ロジャームーア、ピアースブロスナンでした。この方々が演じたボンドは、とても饒舌で、女を口説くときも敵に迫るときも、よく喋り雰囲気で持っていく感じがありました。そのため、あまりボンドにばかり気をとられていると、周りで起こっている動きや流れを見逃す時があるという印象です。雰囲気もゆったりしていて、どんな窮地でも超人のように難を逃れると言う印象でした。ですが本作のダニエルクレイグ演じるボンドは、ボンドにしてはとっても無口なのにも関わらず、ちょっとした感情の起伏や心の変化が、映画全体を通してよく分かるようになってるなと感じました。そして決して超人ではなく、しっかりと窮地に追い込まれます。ちゃんと拷問を受けるはめになったりします。生身の人間としてのジェームズボンドらしさみたいなものは、この作品がピカ一だなと思い...この感想を読む

4.54.5
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俳優目当てでプラスアルファの収穫

これまでジェームズ・ボンドにみじんも興味がなかった私ですが、ダニエル・クレイグが6代目に就任してからというもの、興味津々です。007シリーズを見始めるきっかけとしてはある意味正解だと思っています。なので、ストーリー自体はそれほど要求レベルは高くなくて(というか見てなくてもだいたいわかる)、純粋にダニエル・クレイグを楽しむために鑑賞しました。キャストも入れ替えてイメージも刷新をはかったのでしょうね。冒頭のおしゃれ加減&長さには、その気合が感じられます。あまりの気合に途中からちょっと笑ってしまいましたが、かなりここで違った方向の期待がふくらみました。ダニエル・クレイグの魅力を楽しむという目的としては百点満点ですね。それだけではなく、007シリーズの自分なりの楽しみ方を見つけることができました。ザ・娯楽という映画もたまにはいいもんだなーと思いました。ただ、007といえばあの曲ですよね。それが...この感想を読む

3.53.5
  • 108view
  • 454文字

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