おっさん達が街を救う!
オッサンたちが大活躍!
普通、小説の主人公というと恋する女子高生だったり、何かに立ち向かう青年であったりと若者が主人公として取り上げられている作品が多いようにかんじます。しかし、タイトルの通りこの作品の主人公は仲のいいオッサン三人組なのです。そして何よりの見所は、このオッサン達が強い(格闘技や頭脳)点ではないかと思います。特に物語の一番の重要人物である清田清一は、剣道をやっていた身であり、次々と街の悪者(不良等)をやっつけていきます。還暦を越えたオッサン達の活躍には凄く心躍るものがあり、とてもワクワクしながら読み進めることができました。
孫と爺さんの関係にも注目!
清一の目からみると祐希はチャラチャラした子で、口調もぞんざいであり、心配の種の一つであったと言えます。はじめは距離のあった二人ですが、たまたま清一が街の悪者たちを退治していることを知り、その強さを認めた祐希は徐々に清一との距離を知締めて行く様子が描かれています。その距離の知締め方も、「爺さんは強い、かっこいい!今度からはぞんざいにせずついていこう!」と簡単な描写で終わっていないのも有川さんの表現のうまさだと私は感じます。一度かっこいい姿を見たからと言って爺さんへの尊敬の念が強く表れるでもなく、でも今までとは少し違った方向で話しかけたりと絶妙な距離の縮め方が読んでいてとても心地よく、リアルだなと感じられました。最終的に祐希は一度捨てた剣道を再び清一にならい、自分もなにか街を、人を守りたいと考えるようになっていく様子が本当に自然に描かれていて、読んでいて凄く心地の良い部分でした。
息子夫婦との関係
この小説のはじまりとなる部分で、清一は自らが定年したからと言って「お爺さん」の枠に入れられるのが嫌だと感じている様子が描かれています。しかし、それを知りながらも息子の嫁である貴子は自分がピアノ教室を始めたいからと定年した清一をおだてます。また、箱入り娘のお嬢様だった貴子は、どこか世間知らずなところがあり、小説の中で度々清一の地雷を踏んでいきます。それを息子の祐希に言われ咎められる点も、この小説において重要な場面だったように感じられます。親だから息子も親の考えに倣うわけじゃないと強調しているようにも思え、凄くリアルさを感じさせられました。また、必ずしも親や大人のいう事が正しいわけではないと今の現代社会の問題点をあげているようにも感じられました。清一の息子であり、祐希の父でもある健児は貴子の言いなりになっている状態であり、現代社会においてよく見られる光景なのではないかと感じさせられました。有川さんの現代社会に向ける視線が強く描かれている部分でもあるのではないかと思いました。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)