ここまで読み込んだ小説は人生であるかないか - また、同じ夢を見ていたの感想

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また、同じ夢を見ていた

5.005.00
文章力
3.50
ストーリー
4.50
キャラクター
3.50
設定
4.50
演出
4.50
感想数
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読んだ人
3

ここまで読み込んだ小説は人生であるかないか

5.05.0
文章力
3.5
ストーリー
4.5
キャラクター
3.5
設定
4.5
演出
4.5

目次

散りばめられている伏線の数々

ベストセラー『君の膵臓が食べたい』の著者である住野よる先生の小説の特徴の一つである。

舞台は学校ではあるが主人公となる小学校に通っている女の子は友達が少ない。そういないわけではない。しかし小学校に友達といえる人は数人しかいないのは事実。

そんな彼女が小さな胸を張って友達といえるのがちぎれたしっぽがトレンドマークな小さな彼女。

その彼女と出会い、助けた際に知り合ったとてもやさしい”アバズレさん”にいっつもおいしいお菓子を焼いてくれる大きな木の木でできた家のおばあちゃん。

そして手首にカッターを押し当てて自分のことを語ろうとしない”南さん”の三人である。

いつも一人でマンションへ帰り、ランドセルを机に置き、黒くて小さな彼女と待ち合わせし友達の家へ行ってはその日あったこと感じた事を共有し女の子の心情がとても細かく描かれている。

小学校の授業で、幸せについての自分なりの考えをまとめないといけないといった場面では少女の幸せに感じた事と友達の感じた事を比べ考えをまとめるとともに、この物語を紐解いていくキーワードにもなっている。なにげない会話や描写が実際に考えるとん?と思う場面が多々ある。ひとつあげるとするならば南さんと初めて会った時のことである。

その日はアバズレさんもおばあちゃんもいなくて仕方なく小さい彼女とともに歌いながら新しい道へ歩いているときにおばあちゃん家とは対照的な石の建物を見つける。

二人は意を決して入っていく。建物は長年使われた形跡が見られずほこりがたまってしまっている描写が見られた。そして屋上で南さんと会う。その時にほこりのつもった階段を一段一段あがっていっていると思われる描写が見られる。なにげない文章ではあるが屋上には南さんがいた、では彼女はどのようにして屋上まできたのか?こういった小さいながらもストーリーを読み解いていくヒントのようなものが多くあるのでとても一度では満足できない。

視点がすべて一人

しばしば想像を膨らませるために、具体的なモノに例えたり文章で語り手が登場したりする場面を見たことがあると思われる。しかしこの作品はすべて少女の主観による感じたことや思った事を主として表現されている。主人公が小学生だから表現が幼稚であるということはなく、本を読んで少し知識のついた子供らしい発想に富んだ描写が多く、読んでいてわかりやすいものが多くある。

だからといって、女の子の考えがすべてまるっとわかってしまうということはない。なぜなら子供だからである。自分の思ったことに素直に動くこともあれば友達の意見を参考に考え抜いたこともするし時折考えられないような行動をすることもする。

先の展開が読めない、読ませない急展開

この作品を最初に読んでて強く思ったことがある。これ、うまくまとまるのか?

物語に没頭し、絵を描くことが大好きなのにそれをばかにされるのが怖くて隠している同級生の桐生君との幸せについての授業が進んでいき、それを最後には授業参観で発表するという流れは呼んでいてわかった。わかっただけなのだ。いつもどおりに少女は友達の家へ遊びに行く。友達と話して考えを深めていく、桐生君のある事件が起きる、この時点でどうなるのか展開が読めなくなってくるのだ。どううまく友達三人が絡んできて女の子がどう感じどう行動するのかが予測できなくなってくるのだ。そもそも友達の名前が作中では公開されてはいない。それについてどうまとめるのかととてもこの残りでは書き尽くせないのでは?と思わせるようなストーリー構成となっている。

バトル漫画のように状況がころころと変わることもなく、あくまで日常の中で起きていることに対してのことであるため実生活からもこうなるのでは、と想像を膨らませることが可能である。しかし、その上を越えていく展開に読み切ったときには最初はわからないことだらけかもしれない。それもそうである一回では読み切れないのがこの作品なのだから。二回目にたとえ展開がわかっていたとしてもなぜそうなったのかという経緯や原因を知ることでさらにこの作品を味わうことができるのだ。

なぜアバズレさんはオセロを持っているのか、なぜ南さんには親がいないのか、なぜおばあさんは立派な家に一人暮らしていて絵を大切にしているのかどうでもような情報の中でもより考察を深め展開を読めにくく、わくわくさせるような文章構成になっている。

もしかしたらすべての描写が伏線を含んでいるのかもしれないしそうではないのかもしれない。

一つ言えることは読んで二回は読んでいただきたい。展開がわかっていたとしても、どうなる結末なのかわかっていたとしても二回は読んでほしい。

一度目ではただなにげなく読み飛ばしてしまっていたところが物語の真であったりもする。そしてなぜこのタイトルなのかがわかってくると思われる。少女の夢オチで終わるようなストーリーではないことを約束します。

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