切なくなる - 僕のいた時間の感想

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僕のいた時間

4.204.20
映像
4.00
脚本
4.30
キャスト
4.40
音楽
4.10
演出
4.20
感想数
5
観た人
9

切なくなる

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

今の日本をリアルに描いている

ちょうどこのドラマをやっていた時期って就職が難しくなっているっていう現状があったからそれをドラマでも反映させていて何十、何百も会社の面接を受けていても受からないっていう現実から逃げるために自殺を選んでしまったっていう悲しい人が一話目から出ちゃうんですもん・・・。世知辛い世の中を風刺しているっていうかなんていうか・・・そんなのを見ちゃうと現実はそんなに甘いものじゃないんだっていうことがよくわかりますよね。最近のドラマには珍しくそういうのをリアルに描いているなっていうのが印象深かった作品ですね。

まるでドキュメンタリーを見ているかのよう

今までのドラマでこんなに切なくなるっていうか私自体が今までこういう病気と闘う人の話を見るのが24時間テレビのチャリティードラマとか映画とかそれこそドキュメンタリーくらいでしか見たことなかったので、ドラマで見るっていうのはなかなか新鮮でしたね。というか最初はどんな話なんだろうっていう興味本位で見てたんですよね。タイトルからしてなんか切ない話のドラマなのかなっていう程度にしか思っていなかったんです。だから病気と闘う人の話だって知ってすごい切ないというか悲しい気持ちになりました。何一つ悪いこともしていない、事故にだってあったわけじゃない、今まで普通に暮らしてきたのに急に体がおかしくなるのって怖いですよね。普通に働いて普通に恋愛してっていうのができなくなるのかもしれないなんて思うと何を糧に生きていいのかわからないですよね。

そして何よりこのドラマで初めてALSっていう病気の存在を知りました。こういうドラマでよく取り上げられる病気って白血病がほとんどだったと思うんです。だから最初にこの病気を聞いた時思わずググっちゃいました。調べてみたら白血病よりももっと怖い病気だなと思いました。段々体が動かなくなっていくなんて怖すぎますよ。そんな難しい役をやってのけた三浦春馬さんすごいと思います。ほんとに動かなくなっていく感じがよく出ていたし、症状が進んでいくごとに感じる不安や恐怖がすごく伝わって来て毎回泣きそうになりました。それでもそれを隠して周りに知られないように必死な様子が何とも言えない気持ちになりましたね。これからどんなことだってやれるって思っていたはずなのに急にいタイムリミットができちゃうなんてどう生きていったらいいのか分からなくなって当然ですよ。私が同じ立場だったらまず絶望しますね。何で自分がこんな目に合わなくちゃならないんだと運命を呪うし、神様を憎んでしまうと思います。それでも前向きに生きようとする拓斗がかっこよく見えましたね。自分の病気をきちんと受け止めて最後まで自分はどう生きるのかしっかり決めてすごいなって。単純に自分にはできないなと思って尊敬しました。

拓斗の講演に号泣

ドラマの中で拓人が講演していたシーンはほんとボロ泣きでした。ドラマの中のセリフのはずなのに本当にこの病気と闘っている人が話しているような気がしてとても感動しました。

拓人の話していたことは誰もがみんな思っていたことだと思います。自分の身に起こってみないと分からないことってたくさんあるんですよね。死についてもそうです。病気になって命の期限を知ってそこからどうすればいいのか。ただ漠然と毎日を生きていけるのは何の病気も障害もない人の特権なんだっていうことを知りました。ただただ過ぎていく一日がどれだけ大事なのかっていうのは私たちのように何もない人たちには分かろうと思っても分からないのかもしれません。拓人の言葉はどれも胸に突き刺さってきて色々考えさせられました。そして何より自分の病気のことを誰かに話す勇気、言葉にして伝えるのがどれだけ大切かっていうことも教えてもらいました。同じような病気で苦しんでいる人たちにとっても励みになる講演だったと思います。ドラマの中だけじゃなくて実際に講演しているかのような錯覚さえ起きました。講演の中で拓人が夢を語るところはほんとにもう涙が止まりませんでした。病気になったからって悲観的になることはないんだって。むしろタイムリミットがあるからこそ目標に向かって全力で頑張ることができるんだっていう前向きなメッセージが伝わって来て胸が熱くなりました。でもそれを伝えられるようになるまで拓斗にはいろいろな葛藤があったのは間違いありません。拓人一人ではこんな風に前向きにはなれなかったでしょう。その恩返しの意味も込めてきっと講演の依頼を受けたんでしょうね。

周りにいる人の温かさ

このドラマを見ていて思ったのは人の温かさってすごいなということです。普段何気ないときには感じられない温かみっていうのがあるんでしょうね。特に拓人にとってはメグの存在は大きかったと思います。自分が病気でいつまで生きられるかもわからない、ましてや話すことすらままならなくなるってわかってそれでもそばにいてくれるって心強い以外の何ものでもないですよね。そう考えるとメグも相当の覚悟が必要だったと思います。生半可な気持ちではそばにいられないというのが分かったんでしょう。本当に拓人のことを心から愛してずっと何があっても支える続けるっていう覚悟をもって一緒にいたんだと思います。それにメグだけじゃなく守や陸人たちの励ましも大きかったでしょう。というか拓人が病気だってわかっても今まで通り接しているのが何より拓人にとってうれしいことだと思います。病気だと知っても離れずにずっと今まで通りに接してくれるのって何よりうれしいんじゃないでしょうか。これこそ真の友情だと言えると思います。普通は引いて敬遠しがちになってしまうものでしょうけどそうしなかった守たちもすごいと思います。ドラマだからっていうのもあるのかもしれませんけど、こういう人の温かさがよくわかるドラマって貴重だと思うんですよ。こういうドラマを見て考え方が変わる人だって少なからずいるでしょうから。

ラストも感動

メグと拓人が二人で思い出の海に行くシーン。なんていうか二人の絆の深さというかどれだけお互い思い合っているのかがとてもよく分かるワンシーンだったと思います。何より最後に二人の指に指輪がはめられていたのを見た時には胸がジーンときました。結婚したんですね。拓人はもうしゃべれなくなってしまったからいつどうなってもおかしくない所まで病気が進行しているけど、それでもその残された時間を一緒に過ごす覚悟を決めたんだなって。二人の強い思いを感じるシーンでした。きっと拓人はもう長くはないと思います。それでもきっと二人なら最後まで笑っていられるんじゃないでしょうか。それに拓人の周りにはたくさんの人たちがいるから決して寂しくもないはずです。目標を作ってそれを目指しながら一生懸命生きていくんだと思います。

命についてものすごく考えることのできるとてもいい作品に巡り合えたと思います。そして自分にはまだまだ知らないことばかりなんだってことがよくわかりました。

いつ何が起こるか分からない未来のことを考える事よりも今をしっかりと生きることが大切なんだと思います。先のことばかり漠然と追いかけていてはダメなんだということを教えてくれた先生のようなドラマだったと思います。むしろ拓人は私にとって先生のような存在でした。こんな風に想えるドラマは今までなかったので私の中で一番心に残るドラマになりました。

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