風と雲と虹とのあらすじ・作品解説
「風と雲と虹と」は1976年1月から1年間NHKで放送された大河ドラマである。平安時代中期を舞台に、朝廷に背いた平氏一族の盛衰を描いた作品である。原作は海音寺潮五郎の小説『平将門』と『風と雲と虹と』。 官位を目指して上京した平家の嫡男・将門(加藤剛)は正義感の強い性格のため、賄賂が横行する都の生活を嫌っていた。先に上京していた従兄弟、貞盛(山口崇)は要領よく将門より先に出世するが、そんな従兄弟の様子を間近で見ていても将門は都の貴族社会に辟易するばかりであった。そんな折、将門は貴族にしては珍しい自由奔放な振る舞いをする藤原純友(緒形拳)と出会い、彼の人柄に惹かれていく。しかし実は純友は将門を利用して都を征服しようとたくらんで近付いたのであった。朝廷の命を受け海賊退治に向かうものの結果振るわず、将門は板東へと戻る。そこで平氏一族の内紛に巻き込まれる中で次第に頭角を現し、やがて朝廷との対決へと話は展開していく。 将門の野望、そしてその中で繰り広げられる人間関係を緻密に描いた壮大な長編ドラマである。
風と雲と虹との評価
風と雲と虹との感想
雄渾、アナーキーで血湧き肉踊る傑作
最古の時代を扱った大河ドラマ1976年制作のNHK大河ドラマ。現在までのところ、最古の時代を扱ったものであり、全話のVTRが保存されている最も古い大河ドラマでもあります。大河ドラマで取り上げられる時代は圧倒的に戦国時代後半と幕末に偏っており、たまに平家台頭から源平争乱(12世紀後半)が舞台になることもありますが、そう多くありません。この「風と雲と虹と」は、(10世紀前半)を舞台にしたものなのでそれより200年以上遡ることになり、断トツの古さです。原作は海音寺潮五郎の「平将門」「海と風と虹と」を併せて福田善之が脚本執筆。後者は平将門と同時に瀬戸内で反旗を翻した藤原純友を主役にした作品で、二人主役ということになりますが、ウェイトは将門に置かれています。冴えわたる福田脚本さて、この事件がこれまで大河ドラマに取り上げられなかった理由としてはいくつか考えられます。まず、数年で収束しており、1年の長丁場を持た...この感想を読む