青春とは - 夜のピクニックの感想

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夜のピクニック

3.673.67
映像
3.00
脚本
3.33
キャスト
3.33
音楽
3.17
演出
3.67
感想数
3
観た人
3

青春とは

5.05.0
映像
3.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
3.5
演出
5.0

目次

夏の朝靄にぴったり!ザ・青春ムービー!

実際に存在する行事「歩行祭」

何回でも見れますね。「ザ・青春ムービー」という感じで、公開当時は2004年と10年以上前に

なりますがそれでもなお私の中でこの青春映画を超えたとはありません。

夏の深夜2時ころから見始めて、鑑賞が終わる朝方4時に

窓の外を見てみると少し青ざめいた夏の朝がやってくる

といった状況でみると、「さあ青春するぞ」とこちらまで言ってしましそうな雰囲気になります。

思春期の男女の微妙な気持ち

青春といいながらもしかし複雑な映画ではあるのです。異母兄妹を取り上げることでこの作品の土台が出来上がります。

この映画を見た当時、私は中学2年生でした。「異母兄妹って?」みたいな。

そこがまたいいんですよね。中学2年生にとっては不倫だ浮気だって現実世界に存在するものではないと思ってるので母親が異なる兄妹がいることなんて派生すらしないのです。

なので衝撃を受けました。というか最初理解できませんでした。何回も見直して10回目くらいでやっとわかったけど頭はちゃらんぽらんです。

そんな貴子と融ですがお互いにやっぱり避けてしまうものなんですね。

公開からもう12年経ちますが、私も大人になって気づきます。

「きまづい」という、なんとも言えない感情で学校に通わなければいけないということを。

というか学校にそんな人いたら私なら登校拒否ですね。よく通えました。

通えたのはおそらくお互いに「興味がある」という感情からのように感じます。

「お父さんの不倫相手の子供ってどんなやつだろう」「近づいてみたいな」

少なからず思春期の、しかも男女でお互いをそんな風に気にしていたはず。

口では「まじかよ」とか友達にひやかされて「別に」みたいな発言をしていても内心気になって仕方ない存在であることは確かでした。

そんな時に現れた魔法の行事「歩行祭」

なんと、この歩行祭では例年のように恋人ができるとかなんとか。

貴子は3年目のこの歩行祭で賭けにでます。

3年間、話せなかった憧れの人とこの歩行祭で話すことを心に決めた貴子。

もうここで青春です。こんなことしたかった。

人間の一方的な感情でも言動へ突き動かす

さて話は貴子の親友の話です。

杏奈からの手紙、美和子の杏奈の手紙の考察。

作品をみた当初は「この人たちエスパー!?」と驚いた小生。若干中学2年生。

でも今思うと随分貴子のことを考えていたんだなと。

貴子の母からのカミングアウトから理解ができず、でも貴子の前では何も聞かなかったふりをしなければならない苦しさ。

そこで何かしてあげたいと決心します。でも何をすれば?

女子高生とはそういうもので、人の抱えている問題に手を差し伸べてあげたいものなのです。

ニューヨークに行ってしまった杏奈は弟を使いひとりで作戦にでます。

この3人でいうと杏奈が一番、ちゃちゃ入れしたいタイプです。

うまく最後のカミングアウトに繋がったから良かったものの下手な方向に転んだらどうするのか・・・と少し考えてしまいました。

しかし杏奈も複雑ではあります。自分の親友と好きな人が異母兄妹だったなんてどっちともどう接していいかわからなくなっただろうしその悩みは誰にも相談できなかったんだろうなと。

しかも3年目の歩行祭に参加もできずニューヨークへ旅立ってしまって、もうどうにもすることができないこの気持ちはどこへ投げればいいのかすらわかりません。

なので、杏奈なりに計画を練りに練った上であのハガキと弟を送り込むという思い切った行動にでたと解釈します。

人間関係が難しいのはここで、融には杏奈の思いは届いてないけど、恋愛感情ひとつ入るだけでなぜかどぎもぎして行動にでてしまうんですね。

ハガキのことは美和子が考察しているのを見る限り杏奈の単独行動と思われます。

歩くことが特別なんじゃなくて歩くことすら特別に感じるこの時間

青春のお話に戻ります。

歩行祭という行事は本当に素晴らしく、みんなでひとつのことを達成するってこれほどの快感はないと思うのです。

最後にふたりで長く話すシーン。

あそこはなんとも感慨深いです。

3年間今まで話せなかったふたりですがお互い笑顔で話してるではありませんか。

この3年間を一気に語り尽くすかのような勢いでお互いのことを話します。

実は君のこと見てたんだよ、君はどう思ってるんだろう。

探り探りの会話ではなく以前にも長く語り尽くしかのような話し方。

貴子はもはや目標にしていた「賭け」のことなど忘れてこのまま時が止まればいいのにとでも思ったでしょう。この時間が続くならどこまでも歩き続けられる。憧れのあの人と話す内容ならいくらでもある

この3年間の話、歩行祭の話、中学の時の話、小学生の時の話、育った環境、価値観、友人の話、将来の話、どんな映画が好き?どんな音楽が好き?どんなテレビを見るの?家族の話。

「また歩こうよ」

ただ並んで歩く。それだけなのになんでこんなに特別なんだろうね。

杏奈が言ったあの言葉が貴子の中では生きていて、今、異母兄弟と並んで歩いている。

それが貴子にとってはすごく、すごく特別できらきら輝いた世界の中にいて

歩くだけなのに疲れすら感じない、時間も気にしない、貴子にとってはこの出来事は一生忘れない「青春の1ページ」で。

そして劇中にもありますが、達成した後がまたスタートで、貴子と融の場合

憧れのあの人と話すという目標がスタート

歩行祭を通じて話せたことがゴール

話せた後の物語に繋がる次に向かってのスタートの一歩にすぎない

といった感じで人は目標を達成したところがまたスタートなんだと思います。

あのカメラアングルだけでそれを伝えようとする演出が素晴らしいと思いました。

さらに、坂を登り始めるくらいからずっとかかっているBGM

REMEDIOS の 「True Friends」が押し込めるように感情をさらっていきます。

はじめはアコギメインで声が際立つように構成されていて段々ピアノや楽器音が入ってきて

間奏で一気に盛り上がります。

ここで貴子の一言。

見る側も人生の青春の1ページを一緒に過ごした感じになる大変素晴らしい映画です。

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他のレビュアーの感想・評価

ピクニックというよりはマラソン

「夜のピクニック」を視聴した感想です。この作品は、「歩行祭」という、1日を通して歩き続けるという学校の年中行事の中で、登場人物達の揺れ動く気持ちに焦点を当てた青春映画です。ドロドロしたシーンや眉をひそめたくなるようなシーンは一切無く、思春期の高校生達のきれいな一面を切り取ったかのような印象を持ちました。スポーツの行事の話ですが、全体的に叙情的で、詩的な雰囲気があったと思います。また、高校生達のさわやかさや、かわいらしい雰囲気もありました。岩井俊二監督の「花とアリス」に雰囲気的には似ていると思います。花とアリスほど、女の子達の世界で完結はしていませんが、全体に流れるかわいらしい雰囲気は、近いものがあると思いました。ただ、花とアリスと大きく違うのは、女の子の描き方ですよね。花とアリスでは、オフショットのような映像で、「普段のありのままの姿」というような体で、女の子同士の雑談を撮っているのが...この感想を読む

4.04.0
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