2大スター競演。手に汗握る、実話をもとにした骨太のドラマ! - アメリカン・ギャングスターの感想

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2大スター競演。手に汗握る、実話をもとにした骨太のドラマ!

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
3.5
演出
3.5

目次

2時間37分という長丁場にもかかわらず、飽きることなく観ることが出来た作品だった。

実話ものが人気の理由

構成はとても単純で、ドラッグビジネスで成長した新興マフィアとそれを追う麻薬捜査官の対決。そこにスパイスとして加わるのが、この話が「実話をもとにしたもの」であることと、監督の腕と脚本、そして役者だろう。もうハリウッドでは定番の実話もの。これは、いかにエンターテイメントとして元ネタを料理できるかが、監督や脚本にかかっている。むしろ、ここがしっかりしていないと、目も当てられない悲劇が起こってしまう。実話を扱うということは、とてもデリケートで責任が伴う。実話ものの多くが、大体100年以内に起こった事件やスキャンダルを扱ったものになっていて、関係者が生きていることがあるから、下手をすると訴えられてしまう。膨大な資料と事実の確認と裏付けは、何よりも重要だ。これは史劇の時代考証にも言えるだろう。嘘と誇張の絶妙なバランスの上に成り立つエンターテイメントだからこそ、実話ものが面白くて人気があるのだと思う。

さて、本作は麻薬王フランク・ルーカスの証言で、マフィアと警察の癒着が表沙汰になり、かなりのセンセーションを巻き起こした、アメリカでは有名な事件が元になっている。

ギャング映画の王道

金と権力と美女は三位一体とはよく言ったもの。悪役の隣には必ず美女がいる。ミス・プエルトリコを伴侶にして、豪邸にいる姿は「ああ、悪いことしてるんだな」という様子がひしひしと伝わってくる。そして、これに対する正義の味方は、私生活に問題を抱えいることが多いのもよくある話。仕事にかまけて家族を省みない夫に愛想をつかせた妻が、息子ともども家を出て行く…。仕事もプライベートもクリーンでパーフェクトなスーパーマンではないから、観客は感情移入できるし、ミスが起こって物語が二転三転していくきっかけにもなるのだ。ケビン・コスナーの『アンタッチャブル』なんかもそうだったな。

監督と俳優

アクションは、さすがリドリー・スコット!!見ごたえたっぷり。麻薬製造の現場に踏み込むシーンは特に強烈。マフィアVS捜索部隊の銃撃戦は、どちらが悪役か分からないほどに撃ち合って目が痛かった。警察がそんなに人を殺していいのか?!現行犯=射殺の凄いところだ。

さて俳優だが…デンゼル・ワシントンがカッコイイ!!そして、セクシーだ。なんかこう…にじみでる存在感と色気にはいつも目を奪われる。悪役なのに、捕まるのに、どうしてあんなにカッコイイんだ。私の見た中で、デンゼル・ワシントンの悪役は珍しかったから余計に新鮮だった。レアだからこそ、よかった。それと黒人は、日本人から見たら年齢不詳なことが多いから、若いときから年を取るところまでやっても、白人ほど無理が出ない気がする。たしかこの時、デンゼルは57歳くらいのはずだ。なのに、プリップリの美女といてもぜんぜん違和感がない。そして何百万もする見事な毛皮のコートにも負けない、大物の貫禄。下品とセクシーの絶妙なバランスはデンゼルだからこそだろう。

一方のラッセル・クロウも負けていない。私生活はダメダメ。奥さんには逃げられるわ、学生時代からの友だちはマフィアとつながっているわ、相棒はヤク中で死ぬわ、女グセは悪いわ…。でも、警察手帳をもって仕事の顔になるとギラギラと目を光らせて別人になるところがすごかった。闘志を全身にみなぎらせたイノシシのようだった。左手にハンマー、右手にショットガン。突撃の瞬間はきっと自分の命は二の次なのだろう。捕まえることしか頭にない。ド迫力。 

ラッセル・クロウはファイティングモードのときも好きだけど、優しい顔をするときが一番好きだ。『グラディエーター』のときの奥さんと息子のことを話すシーンの表情に惚れたのが、ラッセル・クロウを好きになったきっかけだった。剣闘士モードはもちろんだけど、私の中ではこのシーンの笑顔がハイライト。そういえば、これもリドリー・スコットだった。アクションばかりでなく、こうした人間ドラマを見せるのもうまい監督だと思う。

「列に並べ、フランク。俺を殺したい奴はいくらでもいる」

ついに捕まった麻薬王フランク(デンゼル)が、俺を捕まえてどうする?あんたは命を縮めてるぞ…といったような脅しをかけると、ラッセル・クロウ演じるリッチー捜査官が、口角をニッとあげて彼に言い放つ。このセリフにはしびれた。いやぁ、この2大スターの競演に感動。2人が接触するのは、ほとんどラストのこのシーンだけという演出も素晴らしかった。だからこそ、麻薬攻防戦を繰り広げたボス2人が初めて顔を合わせるこのシーンは、緊張感がスクリーンからピリピリと伝わってくる。本作一番のハイライトだ。

最後に

時代はベトナム戦争真っ只中で、まさに内憂外患のアメリカだったわけだが、画面の隅に映るテレビを見るのも現代ものの醍醐味だろう。本作では、テレビでジョンソン大統領が演説していた。テレビやラジオは、リアルタイムを演出するのにとても便利でおもしろい

あと、土地柄なのか、麻薬捜査という職業柄なのか、ラテン系の顔の警察官が多くてちょっと画面が濃かったなあ(笑)

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他のレビュアーの感想・評価

この映画は俳優に尽きる

デンゼルワシントンがすごいこのアメリカンギャングスター、この映画の一番の見所が主人公フランクルーカスを演じるデンゼルワシントンに尽きると思います。もともと、この映画自体実話からなってる映画なのは有名な話だと思います。(エンドロールでも語られてます)まず、映画のスタートは彼(フランクルーカス)の幼少期から始まります。そこで、彼が憧れを持つ街のギャングのボス。そこに上り詰めるために、歳を重ね覚悟をまず持ちます。それは、一番、このシーンが好きな人多いと思いますが、同じ地域内で、対立するギャングのボスが街を歩いて来ます。その間、フランクルーカス演じるデンゼルワシントンとその家族(血の繋がりがある実の家族)が食事をしています。そして、彼自体は舐められては「ギャングの仕事は廃業だ」と自分の家族に向けて言い放ちます。まず、このシーンでデンゼルワシントの演技がとにかくシリアスで凄かった印象です。観てる...この感想を読む

4.54.5
  • GANKGANK
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