がっかりで始まり壮大なテーマへ繋がっていく - 機動戦士ガンダム00 スペシャルエディションII エンド・オブ・ワールドの感想

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機動戦士ガンダム00 スペシャルエディションII エンド・オブ・ワールド

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
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がっかりで始まり壮大なテーマへ繋がっていく

3.53.5
映像
4.0
ストーリー
3.0
キャラクター
3.5
声優
3.0
音楽
3.0

目次

結構多いフラストレーション

スペシャルエディションⅠでファーストシーズンを終え、刹那の手紙に感動した私。さあセカンドシーズンだ!と意気込んで見たものの、このⅡの前半ではかなりフラストレーションがたまる。何故か。とにかく前半は続編にありがちな「うーん」「がっかり」の連発なのだ。以下にねちねちと書き記す。 

セカンドシーズンでありがちな「がっかり」がてんこ盛りの前半

わかりやすいところではまずロックオンのそっくりな弟ライルの存在だろう。ビジュアルがそっくりすぎて芸が無い上に、カタロンのスパイだったり、どう見ても怪しいアニューに惹かれたり、とニールファンでなくてもうんざりさせられる。大事な役割を負って感動の死を遂げたキャラが惜しくなって生き返らせる、そっくりの双子を出す、これって昔の少年ジャンプの引き延ばしパターンじゃないか、とぐったり来てしまう。こういう形でロックオンを出すならこの先は見ない、と脱落した人も多いのではあるまいか。

沙慈・クロスロードも外観が成長している割にどうしたもんかキャラになっている。ぐだぐだ言い続けるわりに、覚悟が定まらずトホホな展開を繰り返す。いわゆる一般人代表なのだろうが、成長に至るシーンが不明瞭で不平不満キャラ感ばかりが目に付く。主人公である刹那がクールなだけに彼の右往左往がよけいに目立つ。

他にもつべこべ言い続けるカタロンがかったるいとか(ダジャレではない)、グラハムが仮面をつけててかっこよくないとか、言いたいことは山ほどある。

ルイスがアロウズに加担していることも大きなストレスをもたらす。最初からエース級に成長しているのであれば良いのかもしれないが、いかにも「パイロット見習い」な様子で、どちらかといえば政治的に存在を許されている雰囲気がなんともイタい。

そして何よりもストレスなのはファーストシーズンのラストで感動の手紙をやり取りした刹那とマリナの再会が、思うほど熱くないことだ。

クールに徹していた刹那も随分人間らしくなっており、外観も少年から青年へと成長しているので、セカンドシーズンはてっきり二人の愛が描かれるのかと思いきや、その気配は全くない。どうしたもんか、という感じでスペシャルエディションⅡの前半は過ぎていく。

とは言えやっぱり存在するワクワクとドキドキ

とはいえ、見ていくうちにワクワク要素、ドキドキ要素もきちんと作られている。まずボロボロのエクシアで再登場する刹那、これはSPTレイズナーの第2部の冒頭、エイジ・アスカが浮浪者に身をやつして登場するシーンへのオマージュではあるまいか。モビルスーツなのにマントまでつけている姿はまさにそれしか思いつけない。旧来のサンライズアニメフリークであれば、若干あきれつつも同時にニヤリとしたことだろう。

この後アヘッドに押される展開はまあ予想通り、それを救出するティエリアもいい感じの登場だ。

前項でストレスと書いたルイスの存在も、物語後半で沙慈との絡みが待っているのは当然予想するところだ。戦いの中で和解して二人で平和の道を歩むのか、あるいは戦闘の中でどちらか、あるいは両方に死が訪れるのか、はこの仕掛けでワクワクするポイントでもある。

ソーマ・ピーリス(マリー)とアレルヤは早い段階で邂逅して手を取り合うシーンがあり、この段階では貴重なカタルシスとなっている。最終編を残しての2本目なので作品として中途半端なのはやむを得ないところではあるが、感動と呼べるのはこの二人のシーンくらいだろうか。 

そしてスペシャルエディションⅢは予想できない展開へ?

結局このⅡは予想外の連発なのだが、その後半も予期せぬ展開が始まる。沙慈がオーライザーに乗るあたりも?な感じだが、ダブルオーライザーの量子化による敵機との交信(?)は割とハード路線を走っていた本作を不思議路線に導くのか、という不安をもたらす。

本サイトの性質上、当然Ⅲも見ている前提で話を進める。

こここそがダブルオーシリーズの分岐点と言えるだろう。ファーストガンダムのニュータイプの登場と同時に「戦争のリアル」を描いてきたから面白かったのになぜエスパーものになったの?という疑問、苦情がファーストでもあった。このダブルオーでもそれは同様だ。世界の歪み、戦争終結をハードに語ってきたのに急にファンタジーになるのか、と疑問を抱く。

しかしここからがファーストから続いている「分かり合う」ために「人が変化していく」というテーマを継承した部分だ。そしてファーストが「可能性」を示して終わったのに対してダブルオーは一定の「結論」を提示している。戦わずに戦闘を終結させる道を示すのだ。ここへきて沙慈とルイスの和解が託されるだけでなく、地球にいてひたすら逃げまどっているマリナの意思もクローズアップされる。戦う事しか知らない刹那、戦いを嫌いつつ後戻りできなくなる沙慈、絶対に戦わないマリナ、それぞれの思い、意思が「何となく」ではなく「明確に」帰結する。過去のガンダムシリーズ、どの作品も戦争を否定し、早く戦いを終わらせたい、と言い続けるが、「その局面の終了」「その戦闘の終了」が語られるのみで「もう戦争は起こらない」という結論を出した作品はない。Ⅱのレビューなのでこの結論はⅢのレビューにゆだねる。本サイトにあるスペシャルエディションⅢのレビューを参照願いたい。

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