お金って怖い!!!
リアルな人物像にゾクッ
主人公梨花だけでなく、本当によく居そうな登場人物のリアリティーにドキドキしました。
私も主婦で、子供が出来ずに悩み、そんな人生もアリか!と開き直りながらパートをしていた時期があります。更に、若い男の子に言い寄られて浮かれたことも、、、笑
ですから尚更、他人事じゃなく、読み始めたら止まらなくて一気読みでした!!!きっとそんな人は私だけじゃないはずです!
お金ってなんだろう
私は、幸せな事に子供を授かり、今は専業主婦として、決して高くはない主人のお給料で節約生活を送っています。正直、この生活が始まった時は絶望しました。お金が無い!!どうやって生活しよう。
お金ってあればある事が普通なんですよね。正に、梨花や亜紀、和貴の妻、牧子のように。無いと途端に不安に押しつぶされそうになり、どうやってお金をつくるか考えてしまう。
でも、無ければ無いなりに生活は出来るし幸せなんです。私は今では、スーパーで安い卵が買えると嬉しいし、小分けして冷凍保存してあった食材で、パズルのようにメニューを考えて、それが上手くいって主人が褒めてくれる、コレで幸せを感じられます!笑
お金ってなんなんでしょう。怖いし、悲しいものですよね。あれば確かに生活は豊かになると思います。でも心が豊かになるかは、また別の話。
この作品を読んで、私は小さなささやかな事に幸せを感じられていることに安心しました。不謹慎かもしれませんが、この作品のおかげで今の生活を大切にしようと改めて思えました。
その後の人生
私は小説しか読んでいませんが、ドラマ版や映画版では結末が違うようですね。小説では、梨花は素直にパスポートを提示して捕まる、むしろ捕まえて欲しいという心情で綴じられていましたが、私はなんだかホッとしました。
どうしても、梨花のことを「好き」にはなれないのですが、不思議なことに、読み進めるうちに情が湧いていたようです。早く小さな、つましい幸せを思い出して欲しいと思いました。罪を犯した以上、それは簡単な事では無いでしょう。光太との関係はもう無いでしょうし、夫、正文も受け入れてくれるでしょうか。でも、亜紀や木綿子、和貴の存在は理解者となるのではないでしょうか。本当の意味での理解者では無いかもしれません。ただ、自分を見つめ直す手助けをしてくれる存在とでも言ったら良いでしょうか。この人物たちが再開することは無いのかもしれませんが、そうあって欲しいと思わずにいられませんでした。
私は、この小説を読んで光太との恋愛物語というより、人間の欲望や執着の恐ろしさがテーマだと感じました。
人は、必ず何かを抱えています。表面的には見えなくても、何もない人はいないのではないでしょうか。
マイナス面を自分の一部として膨らませるのではなく、小さなささやかな幸せを、自分の一部として大きく膨らませていけたら良いなと改めて思いました。
生活が苦しいな、ツライなと思った時にあえて読み直したい作品です。
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