目力抜群激かわフクロウにたっぷり呪いをかける藤田節
冒頭カラーページのミネルヴァが盛り上がりすぎる件
最近の静かなフクロウマイブーム、フクロウカフェなんかにもデレデレして出入りしちゃう私ですが。オメメぱっちり名実ともに「目で殺す」ミネルヴァさんに愛を感じずにはおれない訳です。
ミネルヴァさんは白フクロウが素体だと勝手に確信はしているのですが、恋人の石のフクロウに姿形を寄せているので白フクロウよりもゆるキャラ的な造形。女心がきゅんきゅん。
さてそんなゆるキャラのミネルヴァさんですが本編初登場は目のアップだけ。CGで描く作家さんも多い中、職人的なアクリル絵の具っぽい着色のカラーページです。このカラーページ、初登場のミネルヴァさんと見開きミネルヴァさん目の色が違うんですよね。初登場時の目のアップは赤い目に黄色の瞳。見開き時は赤い背景、黄色の目に毒液と同じ墨の瞳。まずページをめくる時の「不気味」「得体がしれない」の前降り演出があって。赤い目なんか尋常じゃないですからね。今思い立って「白目が赤い」で画像検索しちゃって軽く後悔するぐらいですからね。
そこでページをめくると、見開きでドーン!バーン!正解はフクロウでした!と、なるわけですよ。全体的に赤っぽい彩度の低いカラーに、黄色の鮮やかで大きな目がこれでもかと目立つ。そしておなじみのベットリ修正液で真っ白厚塗りが印刷を通してもわかる瞳のハイライト。演出効果抜群です、ミネルヴァの存在感がすごい。目が怖い。藤田先生きっと「ミネルヴァの目の色は赤でぇ~」とか中学生の設定みたいな事一切考えてない。序盤で叩きつける衝撃があれば目の色の設定なんかどうでもいいんですよ。見事すぎる藤田先生!その後カラーではキーマンのウヘイが集中線をしょって1ページ、でかでかと登場してるんですが、ぜんっぜん心にも残らなかったからね。ミネルヴァの登場演出がどれだけインパクトあるんだっていう話ですよ。
ウヘイ語何語
勝手にウヘイはマタギだから東北だな、と思い込んでいたのだけれどどうやら山梨在住のよう。後半で帰る時に新宿駅のシーンがあるのだけれど「乗って帰る電車」にKAIJIと表記されているし、「石和温泉」の書き文字もあるしほぼ山梨確定だと思うんです。
なので特徴的な「サジナワす」「ワザかる」「ホナビラキ」等の言葉は山梨のほうの言葉かと思ってたら全然それらしい事実が出てきやしない。山梨どころか全国的にもそんな言葉はないの。ただ、「ヤマコトバになる」という単語だけは越後の山言葉として確認できたんですよ。もちろん「死ぬ」という意味で。藤田先生は先にこの「ヤマコトバなる」という言葉ありきで、そこから他の造語を生んだのではないでしょうか。しかしかっこいいですね。「そいつはオレがサジナワせるんだ」カタカナのバランスが絶妙。無駄に使ってみたくなる外国語しかり、なぜこうも訳わからん言葉っていうのはかっこよく錯覚してしまうんでしょうねぇ。
逆さま文字
「うしおととら」の、ずべたらぽりどむに代表される藤田オノマトペですが、本作は少しおとなしめ。ヘリの飛ぶ音がラララだとかは、もう平常運転ですからね。
注目したいのはミネルヴァさんの書き文字。東京大虐殺の折りにミネルヴァさんについている書き文字は「ひあ」。ひあは普通のひあじゃなくて上下逆さまのひあ。筆でガーンと描いて、修正液ベッタベタの書き文字。これは恐れ入りました。凶鳥にふさわしい音が普通な訳ないじゃないですか。人間の音じゃない訳。それを表現するのに上下逆さまに描くっていうね。ぱっと見文字に見えなかったですもの。
まぁその後はキエエとか十人並み鳴き声を出しちゃったりしてるので、あれあれ藤田先生?とか不安になるのですが。後半また、ウヘイと決着つる直前に上下逆さまの「わ」が登場。わざわざ「わ」とか書かなくてもいいタイミングで。これは毒をまくぞーってやる気だしてる時の音に違いない。
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