トーマの心臓のあらすじ・作品解説
トーマの心臓は、1975年にコミックスが発売された、萩尾望都の代表作のひとつである。1996年に、男性だけの劇団Studio Lifeにより、舞台化された。その後も再演を繰り返すヒット作となったのである。 物語は、トーマという1人の少年の自殺で始まり、彼にそっくりな転入生エーリク、大人びたオスカー、その中心にいつもいる優等生のユリスモールらの想いを紡ぎながら進められるのである。それぞれの少年の生い立ち、鬱屈した想い、少年同士の締め付けられるような思慕の情。寄宿生活の濃密な環境、時間の中で、伝わらないもどかしさを抱えながら、それでも伝えようとぶつかって行く一途さ。やがて、頑なだったユリスモールも彼らの真実を受け入れ、全てをエーリクに打ち明けて、未来へと歩み出すために別れの時を迎えるのである。優しさにあふれた最終章が、温かい読後感を残すのである。何年か後の彼らを見たいと願う読者も多いのではないだろうか。
トーマの心臓の評価
トーマの心臓の感想
花の24年組の代表作。
少女であったならば、是非読みたい、萩尾望都 先生の名作。トーマ・ヴェルナーはある日、ユリスモール・バイハンに手紙を残し自殺する。しかしその自殺の原因はユリスモール(ユーリ)自身にありショックを受ける。そして目の前にトーマの顔にそっくりなエーリク・フリューリンクが転校してくる。ユーリはエーリクにトーマの影を見る・・・。詩的でまるで文学のような作品です。少年たちの心の動き、繊細な感じが作風から伝わってきます。コマ割りに囚われない、少女漫画独特の心情を表わした作風はこのころから現れたのでしょうか?他の24年組の方々の作品も読んでみるとよりこの作品が楽しくなるかもしれませんね。