ギャグの天才岡田あーみんの大傑作
そもそも忍者物など書く気はなかった?
こいつら100%伝説のコミックスに、担当の助言がなければおそらく自分では絶対に書かなかったジャンルと筆者岡田あーみんさんは述べている。
少女誌では滅多にない、戦国時代の忍者物のギャグマンガであるが、戦国時代なのにテレビ局があったり、現代とそう変わらない歯科医があったりといった時代考証をまるっきり無視しているところがまた面白い。一人の主人公ではなく、個性が強い3人の男性の忍者、極丸、危脳丸、満丸が主人公というところも、少女漫画の中では珍しいと言える。特に危脳丸(アブノーマル)というネーミングは、そのキャラのアブノーマルな性格も併せて、作者のギャグセンスの冴えすら感じる。
岡田作品の中でも「こいつら100%伝説が一番好きだ」という人も多く、同人誌も多数つくられている。
ちょっとした端役も忘れられないキャラが多い
とにかく岡田作品は、一コマ二コマしか出ないキャラや、一話しか活躍しないようなキャラでも、あまりにインパクトが強くて忘れられないキャラクターが多い。こいつら100%伝説の中だけでも、たまにしか出てこない一見没個性的な外見の偽商売屋や、怪力で素手で大木を叩き切る、ライバル貴左光の小間使いねえやさん、腹筋に自信がある自殺志願女性など、多くの個性的キャラクターがいる。ただでさえ胸焼けしそうなほど濃い主役級のキャラ達に、さらに突っ込んでくる変態キャラの数々が、予測不能の展開を呼び、1ページに3回は大爆笑させられるような漫画になっている。このような作品を毎月連載で書き続けるのは大変な苦労だったと思うが、そこが筆者の卓越したギャグセンスがあったからこそと言えるだろう。
ふざけているけど恋は真剣
この物語は、3人の忍者がお城の依頼で命を狙われているお姫様を護衛する中で展開している。3人ともお姫様にはほぼひとめぼれ状態で、危脳丸などはあったとたんに「この髪に絞め殺されたい」などとかなりきわどい口説き文句をお姫様に言っている。普段はふざけてばかりいるものの、特に危脳丸はお姫様が忍者仲間の一人極丸に惹かれていることを薄々感づいており、最後は涙ながらに極丸にお姫様を任せる。普段ふざけている分、そういうシリアスな友情部分が「いざとなったら本当にいい奴」と思わせるいいスパイスになっている。謎なのが途中で恋のバトルに参戦した未来から来たサイボーグ、ターミネーターだが、最終話目前に恋のバトルだけではなく忍者修行からも実質ドロップアウトしてしまう形になる。ちょっとその回だけ不思議な雰囲気の話だったので、登場人物たち自ら、最終回が近かったからか?と不審がっているほどだったが、ファンとしてはターミィ4人合わせた活躍を、もう少し見ていたかったと思わせる、終わるには惜しい連載だった。
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