本格推理好きの人向けかも - 怪しい人びとの感想

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怪しい人びと

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文章力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
3.50
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本格推理好きの人向けかも

3.53.5
文章力
3.5
ストーリー
3.0
キャラクター
4.0
設定
3.5
演出
3.5

目次

どこにでもいそうだけど実は怪しい人というテーマの短編揃い

軽いタッチの短編集であります。気軽に読めます。

作品ごとの書評をまとめてみますと。。

寝ていた女(友人に部屋を貸し始めたのはいいが、ある日、誰も知らない女が寝ていた。そしてこのオチは、この女は友人の女の連れで犯罪まがいのことをするために部屋を利用していたということで、意外性に拍手)、もう一度コールしてくれ(今は窃盗犯に身を落とすが昔は高校球児だった。潜伏先はあの誤判定をした元審判の家だったというもの。映像化すればもっとシャキっとするかなという感想です)、死んだら働けない(過労死かロボットに殺されたのか、オチ、細かい注文にうんざりした下請け業者が犯人でした。伏線からこのオチを連想するのは至難の技かもしないという部分においてはちょっとした驚きのある作品)、甘いはずなのに(娘殺しの疑いを後妻にもち、彼女との新婚旅行中に殺そうと思うが、オチ、犯人は実は自分自身の過ちから来た自分という、まあ、衝撃的的な展開というか)灯台にて(友人との自立競争みたいな単独旅行、そこで出会う灯台の守番は、ホモで、かろうじて逃れたぼくは、友人にそこに行かせるようにし向ける、オチ、友人はそこで殺人をするという)結婚報告(誰が手紙を送ったか、冒頭で謎の提示があって、予想のつかない展開がはじまりまして、リーダビリティーがよかった)コスタリカの雨は冷たい(旅行先での窃盗、警察ぐるみだったというオチ)などなど、バラエティ豊かです。しっかりしたオチつき。

エンタメ文章力の極み

どこにでもいそうだけど、実は、裏ではすごい怪しい人だったとか、誰にでも起こりそうでありえない話とか、いうことが全編を通じた土台になっています。プロットのしっかりさは本格推理小説もこなせる(というか元はその出身かな)著者らしい技術。読みやすいし、わかりやすいし、嫌悪感もないし、これぞエンタメ文章力という感じです。

本格推理的な切り口が根幹

ただ、本格推理的な切り口が根幹にあったので、本格推理をおもしろいと感じる人と感じない人ではこの作品群の評価も変わってくるのかなと思いました。といっても、逆に凝ったトリックなどは使われていませんので、すらーっとは読めました。吹き出してしまう場面やホロリとさせられる場面など、東野節というかそのテクニックが駆使されています。ベストは「灯台にて」かな。この作品にはドラマがありました。

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