クリスマスの奇跡 - ホーム・アローン2の感想

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クリスマスの奇跡

4.64.6
映像
5.0
脚本
3.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

成長していない家族

当作品は、マカリスター一家のクリスマスを描いたものであり、前作から継承されています。

そのことから主人公のケビン少年も同一人物であり、そのまま前作の続編という位置付けで物語の内容が構成されています。

すなわち、展開も前作と類似しているので、成長していない家族と考えることができます。

しかし、前作のヒットから、観客の期待に応えた内容と言い換えることができます。観客は、マカリスター一家の成長や、その後の展開に期待していたのではないと考えられるのです。期待されていたのは、前作内容の再来だったと考えられます。前作のヒットした要因は、ケビン少年が一人きりで伸び伸びと過ごすバカンス、トラップを駆使した泥棒退治の二点だったのではないでしょうか。

その二点が押さえられていることが、当コンテンツの特徴といえます。

そのことから、前作の大失敗から成長していないように映るマカリスター一家においても、観客の期待に応えるかたちで実現された結果と考えられるのです。ただ、物語としては、無理矢理にでも良い話に仕立てていますが、見方を変えれば幼児虐待という考え方もできます。

現在の風潮や考え方の中で、この映画作品が発表されたなら、ここまで受け入れられてヒットした映画作品になったでしょうか。この当時の時代背景や未熟な社会ゆえに成り立っている内容とも考えられるのです。

ただ、ケビン少年のご両親も、意図的に、ケビン少年を置き去りにしているのではありません。

不幸な事故であり、迷子の延長線上にあるのが、この映画作品の内容なのです。

泥棒との対決について

泥棒役においても、前作と同じ登場人物で構成されているのが印象的です。

違う場所を背景にしながら、前作で刑務所送りにした泥棒コンビとケビン少年が、再び対決することになるのです。よく、日本では「世の中は狭い」と言われますが、土地が広大なアメリカを背景においても、偶然出会うことになる展開に、アメリカも日本と同じように狭いのだと感じさせます。

また、同じ泥棒コンビと対決することで、前作からリベンジという要素が加算されることになります。

大人が子供に負ける構図だったからこそ、今回は泥棒たちも負けて、同じことを繰り返すわけにはいかないでしょう。これは泥棒コンビたちの気持ちの持ちようが、初戦とリベンジでは異なるといえるのです。

そして、お互いの手の内を知り合っている同士であることから、心や策の読み合いという要素が生まれるのです。

そのことから、前作より激しい攻防になることは容易に想像できます。そして、ケビン少年においては、バトルフィールドが自宅ではありません。やはり勝手が違うことで、ケビン少年には不利といえる状況だと考えられます。

ただ、ケビン少年のプラス材料として、改装中の家をバトルフィールドに選んでいることが挙げられます。

それにより、改造してトラップを仕掛けるにしても、家の破損を気にする必要はないことから、大胆で派手なトラップを仕掛けることができました。唯一、この点だけは、ケビン少年にとって、好材料といえるものだったのではないでしょうか。

一方、泥棒コンビは、今回は拳銃を所持しています。

実際に、ケビン少年を射殺する気で発砲するのか、できるのか、怪しい部分です。しかし、装備として、前作より確実に好材料といえるのではないでしょうか。

しかし、結果的にはケビン少年は、今回は負けたと判断するべきなのではないでしょうか。

結果的には、ケビン少年は、泥棒コンビに捕まえられています。鳩おばさんが居なければ、本当に危うかったことでしょう。勝ちと捉えるのか、負けと捉えるのか、それは観客それぞれが、それぞれの解釈をして良いのだと考えられます。

背景が自宅から豪華ホテルに

前項でも述べたように当コンテンツの特徴は、ケビン少年が一人きりで伸び伸びと過ごすバカンス、トラップを駆使した泥棒退治の二点です。

前半パートといえるケビン少年のバカンス場面は、自宅を背景に描かれていた前作から、明らかにパワーアップした内容だと考えることができます。そして、客観的な視点でいえば、大人の馬鹿さ加減もパワーアップしていると考えて良いでしょう。

当作品では、ケビン少年が一人でホテルにチェックインしているのです。

現実社会では、間違いなく有り得ないことだと考えられるのです。如何に、ケビン少年の嘘や捏造工作が巧みといえど、まんまと騙されている大人の姿は滑稽であり、前作には皆無だった要素が付け加えられたのだと考えられます。

成長についての考察

前作にはなかった要素として、ケビン少年の成長が挙げられます。

前作でケビン少年に強調されていたのは、家族との向き合い方であり、一人になったことで初めて知った寂しさです。しかし、当作品では、ケビン少年が一人きりになるのも二回目でした。寂しさという要素より、ケビン少年の成長を押し出している内容だったのだと考えられます。

トイショップで玩具を買うことを我慢して寄付したこと、そして、鳩おばさんとの出会いが、ケビン少年の成長要素だったと考えられるのです。また、トイショップにおいては、恵まれない子供たちが世界には大勢いる、という知識という部分に焦点が当てられていました。さらに、鳩おばさんとの出会いは、恐怖に打ち勝つ精神力に焦点が当てられていました。

成長と一括りにしても、知識と精神力という二つの観点からケビン少年を映しているのだと考えられるのです。

そして、鳩おばさんには、成長だけではない別の要素も交差していました。それは、ケビン少年にとっても、鳩おばさんにとっても、お互いがお互いを反射する鏡のような役割を担っていたのだと考えられるのです。自分自身を映す鏡が目の前にあることで、自分という存在を俯瞰して、客観視することができた機会だったのだと考えられます。これはお寺などで座禅を組み、自分自身の存在を見つめ直す修行に似ているようではないでしょうか。

二回目である今回の置き去りにおける違いは、ケビン少年の成長だと考えられます。

そして、一回目より二回目である今回の方が、ケビン少年の成長した幅は、遥かに大きなものだったのだと考えられるのです。

結末次第で悲劇にも喜劇にも!?

改めて、作品自体を振り返ると、ケビン少年とご両親が無事に再会できているから喜劇なのだと考えられます。結果的に、ケビン少年が大怪我をしていたり、最悪の事態が訪れていたら間違いなく悲劇だったことも容易に考えられるのです。

ケースは違うかもしれませんが、車に子供を乗せたままで買い物をする親がいることで、毎年のようにニュースになっています。ニュースとしてテレビで流れるということは、不幸な事故になっているからだと考えられるのです。お子さんが亡くなっていない場合、熱中症で病院搬送されているくらいではニュースにならないでしょう。そういったケースを含めれば、毎年、どれくらいの子供が車に置き去りにされているのでしょうか。

前作にもいえることなのですが、今作においても喜劇に仕立てられ、結果的に良い物語に映っていると考えられるのです。

しかし、結末自体では性格が180度ひっくり返って、悲劇の性格をもった作品になってしまうことも忘れてはいけないことだと考えられます。無事に泥棒を撃退できたから、結果オーライの物語になっているのです。不幸な方向で想像するなら、鳩おばさんが居なければ、ケビン少年は生きていなかったのだと考えられるのです。

そのことを重く受け止め、改めて、自身の行動を振り返るべきだと考えてしまいます。

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5.05.0
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