スラムダンクを描いた井上敏彦が描いた宮本武蔵と佐々木小次郎の物語 - バガボンドの感想

絵のタッチがきれいすぎる

井上敏彦先生の代表作、スラムダンクやリアルなどが好きな人はまず、間違いなくはまります。また、歴史系が好きで代表作を読んでいない方が読んでも他の歴史系では見たことない絵のタッチに間違いなく感動します。画力がやはり他者とは比べることができないぐらい群を抜いています。漫画を読む際に、やはり絵の好き嫌いは大いに関わってきます。最近の漫画ではあまり画力がすごいと思うような作品は正直少ないなか、バガボンドは剣術や背景、人間すべてにおいて、きれいすぎます。文字を読まなくても絵だけで展開が分かるぐらい細々したところまで描写されており、表情一つでその感情が読み手に伝わってくる素晴らしい作品です。

使い古されたネタなのに新鮮

宮本武蔵や佐々木小次郎は小説、ドラマ、漫画、アニメなど様々な分野で使い古されたネタと言っても過言ではないと思います。実際多く人が巌流島の対決と言えば宮本武蔵、佐々木小次郎とでてくると思います。しかし、この二人の幼少期から描かれているバガボンドは今までの小説などとさほど内容に大きな差はないのにも関わらず、初めて読むかの新鮮味と衝撃があります。この衝撃は読んでみた人でないと分からないもので、特に宮本武蔵の幼少期から青年になるまでの間、修羅の道を歩み豪の剣術を学んでいき、一時期鬼のような存在になるところ、佐々木小次郎がしゃべれず、剣を産まれたころから自然から学び自然体の剣を操る剣の天才と描写されており、この二つのストーリーは本当に新しく感じて作品にひきこまれます。

武術の心から学ぶ

ここでの武術とは剣術も含めております。剣術だけではなく槍術、鎌など色々な武術と出会いその門をたたくごとに強くなっていく宮本武蔵ですが、人としては幼くまたもろく、ただただ本能のままに生きてきました。身分制度や恋愛、人間関係を経て修羅から人間に戻っていきます。大きな看板を背負っている、吉岡道場、剣の道でその名を聞いたことない柳生、槍術で天下一宝蔵院、宍戸梅幹などに出合い敗れることによって武術の道から自分の弱さやちっぽけさ、自身が打ち崩されていくなか、沢庵にであい様々な問いに答えをみつけていき、武術から生き方やなんのために強くなるかを見つけていき、武術を通して成長していく姿はまさに必見です。

少ない恋愛描写から深い愛が

この作品ではあまり恋愛模様が描写されることは少ないです。しかし、武蔵の幼馴染の又八が女にうつつを抜かすシーンには人間の本心、恋愛のいい点悪い点が描かれており、武蔵と又八が思いをよせるおつう。おつうは武蔵を思うのだがこのおつうの武蔵の思う愛が深く本当の愛とはいう問いに答えをくれるようであります。