“不思議”と日常の境界線 - 百鬼夜行抄の感想

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百鬼夜行抄

4.884.88
画力
4.75
ストーリー
4.58
キャラクター
4.63
設定
4.88
演出
4.75
感想数
4
読んだ人
9

“不思議”と日常の境界線

5.05.0
画力
5.0
ストーリー
4.8
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
5.0

目次

読み切りの良さと切なさ

1話読み切りですごく読みやすいし、中途半端な巻を読んでも楽しめるのが良いところ。

その反面、きちんと解決されずに終わるような「中途半端な終わり」をしているような話は、

「解決されない怖さ」という面で、ホラー要素を際立たせているように思う。

ストーリーとしてはアリなんだけど、事件としては解決されていないというか……。

最初のころと比べて、人間模様が複雑化しているせいか、最近は特に多い気がする。

中でも、箪笥の幽霊に魅入られた開さんのエピソードは今後どうなるのかが気になる。

開さんはせっかく現世に戻ってきたのに、結局「人ではないもの」に魅入られてしまって、

その生涯を終えてしまうのだろうか……。開さんの一生を思うと切なくなってしまう。

「百鬼夜行抄」の恋愛観

恋愛話が出てこないわけではないのに、イマイチ幸せな恋愛が展開されていかない。

「百鬼夜行抄」では、一見うまくいっているような恋愛も、実はうまくいっていないというのが、なんとも切ない。

例えば……。

一見ラブラブのような律の母である絹と孝弘は、すでに孝弘の魂がそこにはないし、

心が通い合っていた三郎と晶は、三郎が人間としての生を終えてニワトリになってしまったし……。

司の崇拝者とも言える彼氏がいる司だけど、司が恋をしているようには見えない……。

先に記したように、開さんはいつも「人外の者」に魅入られてしまっている。

主人公であるハズの律に至っては、人間不信がすぎて、恋愛なんてしそうにない。

唯一認めている女性とも言える司には彼氏がいるし、「年下のいとこ」として相手にもされていない(本人は否定しているけど)。

これまで、おじいちゃんから受け継いで来た不思議な力だけど、この分だとこの力は、この第3世代で途絶えてしまうのではないかと思う。

律が今後、恋愛をするとしたらどんな人とするのだろうか。

やっぱり、律は司のような「本物の力」や「自分と同等以上の力」を持っている人を

好きになるのだろうか。それとも蝸牛のように、何もかも吹き飛ばすような八重のような力を持つ人に

心惹かれていくのだろうか……。気になる!

律と青嵐の関係

律の心臓が一度止まってしまって、蝸牛との契約が完了してしまった青嵐。

蝸牛にしてはツメが甘い契約だったように思うのだけど……。

その後も律と一緒にい続け、「ボランティア」と称して律を守っている青嵐。

実は律が気に入っているのでは、とか、妖怪にも「情」があるのではと思わせる。

それでも、いつかふいにいなくなってしまう日が来るのだろうか。

お互い、おもうように行かない2人だけど、律が生を終えるその日まで、どうか続いてほしいと切に願ってやまないのです。

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普通でいようとするって大事!

幽霊にもマケズ、妖怪にもマケズ。主人公は幽霊が見えちゃうし、実家も妖怪だらけっていうかお父さんの中身も妖怪!お母さんとおばあちゃんも、「うちってちょっとヘンよね」というのは解ってる。でも、そんな環境の中でも淡々と普通に生活していて、そういうのって大事だな思いました。積極的におかしなものに振り回されないようにする姿勢というか、人間としての当たり前の暮らしをちゃんと営む姿勢というか、普通でいようとすることはとても大事なことだと思います。ある著名な霊能者さんが言うには、おかしなものを感じても、それにばかり意識を向けて生活をおろそかにすると、どんどんおかしなものに引きずられてしまってよくないそうですが、主人公が環境の割に正常な思考を保ち続けられているのも、そういうことなのだと思います。霊が見えることと除霊ができることを混同して誤解する周囲の人から除霊を頼まれたときに、「僕は見えるけど特別な力は...この感想を読む

5.05.0
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