豊かな食事が豊かな人生をつくる - マーサの幸せレシピの感想

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豊かな食事が豊かな人生をつくる

4.54.5
映像
4.0
脚本
3.5
キャスト
4.0
音楽
3.0
演出
4.0

目次

活躍する現代女性

仕事に真面目で、男性にも負けじとひたすら頑張ってきた糧に与えられたシェフとしての地位やプライド。家庭に入る女性からも、地位はなくとも仕事に励む女性からもカッコよく思える主人公マーサ。共に働く仲間からも信頼や尊敬はあるようだけど、時々みせる頑固さやふりまわされるプライドがとてもリアルで、一度は勤めたことのある方なら誰もが共感できる職場のよくある光景。この物語に引き込まれたのは、自分の子供でもなく姉の子供と共に生活をすること。今、活躍する女性の多くは、結婚や出産を考えると両立は難しいと考えるのが普通…職場だけでも器用にみせているマーサを女性としてうらやましくもあり、尊敬と応援したいという気持ちにさせられる。そんなときに現れる異性のライバルは好きではないが色々な意味で気になる存在。すんなりと優しく受け入れられないキャリアウーマンを客観視でき、不安やフラストレーションだけでなく反省する気持ちにもなる。

人生は選択ばかり

全てを手に入れることはできるのか。仕事での成功、女性として最愛のパートナー、愛の証、ともに励む仲間たち。マーサのように仕事選び、最優先のように仕事に浸かると、魅力的な異性にも気づかないもの。もっとそばにある大切な家族を傷つけてしまうこともある。マーサはリナを子供としてではなく一人の人間としてみているようで、どこか壁を感じる一つ屋根の下の生活。リナにとってもそれは同じで、そんな壁を器用には崩すことも登ることもできないでいるマーサは、家族に迎えいれるという選択を逃げたようにもみえる。大きくて頑固なプライドではないのが子供の良いところでもあり、リナがお迎えを忘れられ時の悲しく切ないながらにもそれを怒りとしてマーサにぶつけたことで、壁が少しうすくなったのは、忘れた現実ではなく、忘れられてしまうことの寂しさをマーサ自信も反省したように感じた。器用にやっていたつもりが、自分だけの視点での成功であり、仕事とはちがい対人になった場合自分だけの満足や反省だけでは気持ちが整理できない、仕事とリナどっちが大事?と自問自答したようなマーサの困惑した反省シーンは、リナと気持ちがぶつかりあうとても印象的なものだ。

まさしく後味の良い幸せなストーリー

血縁関係はあっても、ともに同じ者を食べ、同じ者を見たり、感じたりしないと家族にはなれない…逆に血縁なんて関係なく、相手に興味をもち、愛を持てれば、自然と同じスタイルで生活が始まり、家族のように過ごせる場所ができる。この映画ではそれが、友達や彼氏ではなく、姉の子供とライバルなのだ。よくある関係性ではもちろんないが、作り話とはいいきれないのは、映画ではめずらしく強くシンプルに表現されたと感じたのは、女性の欲と男性の暖かさ。多くの映画は、逆ではないだろうか。プライドの高い女性から素直に泣いたり、笑ったりルールをやぶったり、気持ちを素直にすることの難しさをプライドに縛られていない小さな女性リナと、嫌いなくらいのライバルマリオに惹かれ心を許して行く事でマーサはやわらかくなっていく。気持ちの余裕が徐々にあらわれるマーサはますます魅力的になる。きっかけが、シェフとして仕事に選んだ料理たち。物語として幸せになる過程は現実ではない映画ならではだけど、動かされる気持ちにこそ女性のリアルな感情が伝わってくるようで、何度みても、気持ちよくフィニッシュ。何かに固執し、自分が正しいとおもいこんでしまっているときこそ見たい。ごちそうさま。

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他のレビュアーの感想・評価

無難な作品ではあるが、共感は得にくいか

料理映画でもなければ、ホームドラマとしても半端か『マーサの幸せレシピ』は2001年ドイツ制作の映画だ。のちに2007年にアメリカでもリメイク作品が作られている(こちらの題名は『幸せのレシピ』)。ドイツ人は、一般的に日本人と気質が似ており、真面目で頑固な国民性だと言われている。主人公のマーサはまさに真面目な頑固な性格で、融通が利かない女性だ。それ故に、周囲と軋轢を生みやすい。そんなマーサが、交通事故で死んだ姉の娘・8歳のリナを引き取ることになる…というのが、『マーサの幸せレシピ』のストーリーになる。リナも叔母のマーサと性格が似ており、頑固で融通が利かない。振る舞いも言動も表情も子供らしくなく、言うことを全く聞かず、笑顔の一つすらない。この「ヒロイン」の存在を見ていて、イラついてしまう人も多いかもしれない。最終的にはマーサの元にリナが戻ってくるのだが、あれだけ突き放すようなことを言った叔母...この感想を読む

2.52.5
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