ジョー・ペシが最高のギャング映画
殺し殺されの極上のギャング映画
殺し、殺され、裏切り、裏切られのエンターテイメント作品です。イタい殺しのシーンがたくさん出てきて、よくあるギャング映画と言えなくもないですが、紋切り型のストーリーの割にスピーディーで構成が良くできていて、レイ・リオッタの独白に沿ったストーリー展開が、退屈させない作りとなっています。とにかくどんな映画であれ独白を入れ込むことは、はまればとても有効ですね。この映画ではうまくはまっています。
ちりばめられた音楽のセンスも光る
さて、この映画、スコセッシに特有のしつこくておしつけがましい描写が影を潜め、暗くないし、すっきりさっぱりとした仕上がりで、充分楽しめたました。最後があっけなく終わった気もしますが、ちりばめられた音楽のセンス(特にThen He Kissed Me, Magic Bus, Layla, Gimme Shelterが好きです)といい、映像のクリアさといい、かなりの出来映えです。
ジョー・ペシが最高の演技で緊張感を生む
ジョー・ペシは最高ですね。いつもこのような気短なあぶない性格の役柄をやっている気がしますが、似合います。まわりの登場人物がピリピリした緊張感で、ジョー・ペシに気を使っている様子が伝わってきます。この作品の間中ずっと、いつジョー・ペシがキレて人を殺すのだろうかと、私たちははらはらしながら見ているのもちょとしたサスペンスというか、映画の推進力になっています。この男が相手に相手の質問を聞き直す(「何だって?」「今、なんて言った?」)だけで、画面いっぱいに緊張感が漂います。
レイ・リオッタも悪役、危ない役がすごいはまる俳優ですが、この作品ではジョー・ペシがいるためかおとなしめ。気を遣っている。でも、目つきがやっぱり怪しい。普通じゃないというのはわかります。隙あらばと狙っている若者、チンピラ役が似合っています。
もう一人の雄、ロバート・デ・ニーロも相変わらずうまいのですが、最高というわけではない。というか、彼がどんな映画に出ても、ケープ・フィアーでの演技を思い出して、それを超える怪演、快演にはなかなか届かないという気がします。
いずれにしても、ジョー・ペシが燦然と光り輝く映画で、この一作品だけで彼のファンになります。小さくてとても強そうに見えないのだけど、顔つきが本当に険しくて、一筋縄でいかない危なさが宿った迫力の男、真の名優なんでしょうね。
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