東ベルリンから来た女の評価
東ベルリンから来た女の感想
東ベルリンから来た女,ベルリンの壁,ドイツ
冒頭から、主人公の女医のバルバラは滅多に笑わず、愛想がない女性だなと感じていた。毎日自転車で通勤し、仕事をこなす。何が楽しくてこの人は生きているのだろうという表情をしながら。この時は彼女が受け取る紙袋の意味が全く分からず、怪しい女性だなと思っていたのだが、西ドイツに住む恋人からの物資の援助であることがしばらくしてわかった。そして、恋人と逢瀬を重ねる主人公は、冒頭の愛想がなく楽しくなさそうな女性ではなく、女性としての輝きの人物になっていたことが伝わってきた。東ドイツから西ドイツへの亡命を目論む彼女だったが、医者としての責任感もある。そもそも、自分が本当に西ドイツに行きたいのか、向き合うことをして来なかったように思う。確かに西ドイツで暮らした方が生活は豊かになるが、彼女は医者という仕事を放棄しなくてらならず、果たしてそれを望んでいたのだろうか。また、彼女の上司の男性医師は、どんな人でも時間...この感想を読む
昔東ドイツという国があった
西ドイツ、東ドイツ、西ベルリン、東ベルリンの位置関係が分からないと、ちょっと戸惑うかもしれない映画です。東ドイツから西ドイツへの移住申請を政府に却下され、罰として東ベルリンから、東ベルリンの田舎町に飛ばされた女医バルバラ。不機嫌な顔でタバコをふかし、颯爽と風の吹きすさぶ森の中を自転車でかっ飛ばし、仲間の誰とも親しくしようとしない態度が、何ともいえない渋さがありました。それでも施設から逃げ出してきた少女を庇ったり、同僚のアンドレと少しずつ親しくなったり、温かみも出て来ます。東ドイツのシュタージに付回されていることも、他人に心を開けない原因だったんだろうな。最後の決断はとてもカッコよかったです。いつかバルバラが幸せになれますようにと願わずにいられませんでした。その後ベルリンの壁は崩壊、東西ドイツは統一されます。