異国人で構成された時代劇 - ストレンヂア 無皇刃譚の感想

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ストレンヂア 無皇刃譚

4.604.60
映像
5.00
ストーリー
3.00
キャラクター
5.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
1

異国人で構成された時代劇

4.64.6
映像
5.0
ストーリー
3.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

「ストレンヂア」の直訳

インタネットのフリー百科事典、ウィキペディアでは、「奇妙な男」「異邦人」という訳がされています。しかし、私自身の観た印象と合致するものではありません。納得ができなかったので、スペルを調べてみました。

それで検索できたのが、「Stranger」という英単語です。きっと日本人らしい読み方をするのであれば、「ストレンヂア」ではなく、「ストレンジャー」なのだと思います。

調べるのに、少し時間がかかりました(笑

「Stranger」という言葉を直訳すると、“知らぬ人、他人、客、不慣れな人、初めての人、未経験者”という意味のようです。(※Weblio英和辞典・和英辞典より参照)

本来の言葉を直訳したものの方が、アニメ本編内容の印象に合致するように思えます。確かに、日本という国を舞台としながら、主人公たちと敵対する勢力は「明」という国でした。しかし、異邦人であることは、アニメ本編や物語として、あまり大きな問題ではないように思います。

また、「Stranger」という言葉の意味を表していたのだと思いますが、名無しは仔太郎に馬の乗り方を教えます。前述である通り、「Stranger」の意味である“初めての人、未経験者”を活かした展開だったのではないでしょうか。

“知らぬ人、他人”は、仔太郎と名無しの出会いを表しているのだと思います。

“客”というのも、仔太郎と名無しの関係性を表しているのではないでしょうか。10両相当の宝物を交渉材料として、仔太郎は名無しを雇います。名無しからみれば、仔太郎は“客”であることは間違いないでしょう。

ここまでで言えることは、「Stranger」という言葉のもつ意味を全て網羅されているのです。

名無しの意思

アニメ本編や物語を重要視するのであれば、主人公の仔太郎(こたろう)と名無し(ななし)の出会いが重要なのだと思います。そして、出会いながらも共に旅をするまでのプロセスに重みを感じます。

更にいうと、お互いに心を開いて、打ち解けていくプロセスが重いのだと思います。

名無しにとって、仔太郎という存在は、トラウマとして残る過去を思い出すものだったのではないでしょうか。それを表す場面として、何回も悪夢にうなされる名無しの姿が描かれていました。最後まで観ることで、名無しが夢にうなされていた本当の理由が理解できました。自分の手で殺してしまった子供と、仔太郎を重ね合わせていたのでしょう。

仔太郎と名無しは、雇い主と用心棒の関係性です。しかし、旅を続けていく中、お互いの成りたちを語り合っており、それはお互いの距離が近くなっていることを表していると受け取ることができます。

そして、名無しの中には、損得勘定以外で、仔太郎の力になりたい気持ちが生まれていたのだと思います。

その表れは、雇い主と用心棒の関係は終わったのに、最後は仔太郎を助けようと必死に走る名無しの姿があります。旅を続けるなか、仔太郎と名無しの関係性は、雇い主と用心棒を明らかに超えたのです。

そして、自分自身のトラウマを乗り越えることも意味しているように感じられます。

助けられなかった子供の命、自らの手で殺めてしまった命、その過去に真正面から向き合うことを決めたように感じられました。

受取り方、捉え方は人それぞれだと思います。

ただ、確実にいえることは、名無しの意思の変化が物語の中で最も重要な部分なのではないでしょうか。そして、その部分に制作スタッフのメッセージ性が込められているように感じられます。

私自身は、過去のトラウマを乗り越えることだと捉えています。

驚かされた展開

虎杖 将藍(いたどり しょうげん)の存在と、名無しとの展開に驚かされました。名無しと将藍は、過去に出会っていた場面が描かれていました。お互いの因縁が描かれていたのは間違いありません。

物語のどこで、この二人は交わるのだろうと思っていましたが、顔を合わせることもなく、お互いを認識することもなく将藍は死んでしまいます。

名無しと将藍の過去を描いた場面には、どんな意味合いがあったのでしょうか。この二人の因縁を描いた場面はなくても、物語そのものは成立してしまいます。物語展開として、二人が顔を合わせる機会がなかったことで、過去の描写はあまり意味のないものに成り下がりました。

あまりにも無意味な場面だったことに、驚かされたのです。

しかし、意味が本当に無ければ、編集の時点で省いたと考えられるのです。

ここに強いメッセージ性を感じられます。これは、物語とは別で、制作スタッフが観る側に感じてほしかったことなのだと思います。

心の奥に潜ませた野望の大きい将藍、心の奥にトラウマを抱えた名無し、比較してみると対称的だと捉えることができます。

そして、将藍と名無しの因縁を描いた場面では、二人は並んでいたと思うのです。

しかし、時を重ねて、それぞれが歩んできた道はどうだったのでしょうか。

「強さ」という観点と、「生死」という観点で量ることができように思います。

敵対勢力で最強の実力をもった羅狼(らろう)の存在は、名無しと将藍の実力を測る物差しとなっています。羅狼に負けてしまった将藍、将藍に辛勝した名無し、実力の違いは二人の生き様と成長を表しているのだと受け取れます。また、命を落とした将藍と、なんとか生き延びた名無し、結果は一目瞭然に違います。

それぞれの人生の重みを、メッセージ性として打ち出したかったのでしょう。

将藍は、名無しの比較対象だったのです。だからこそ、二人の過去の因縁が描かれていたのではないでしょうか。

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