展開を知ってるはずなのに涙がとまらない
犬と生きる
この物語はなにかど派手なことがおこるわけでもないですし、終始淡々と物語が進んでいきます。恐らく犬を飼っていた経験のある方なら大号泣ではないでしょうか。私もずっと犬を飼っていますが、涙がとまりませんでした。もちろん犬が人間に対する無償の愛を描いた作品なのですが、それ以上に言葉が通じなくてもこれだけ人が好きになってくれる犬をはじめとした動物たちに私たちはちゃんと応えてあげられているだろうかってことを私は考えてしまいます。当然元はすごく昔の日本の実話ですしこれは映画なので演出な部分ももちろん多くあると思います。例えば現代の普通だったら娘さんの行為は許してはいけないことですね。あと奥さんの気持ちも痛いほどよくわかります。可愛がっていたこを亡くすのは本当に辛いことですから、あの辛さはもう味わいたくないと思ってしまいます。でもハチのように運命で出会う子ってやはりいるんですよね。
暖かい街の人々
ホットドッグ屋のおっちゃんや駅長さんをはじめとした優しい人たちがいたからこそハチはずっとパーカーを待っていられたのだと思います。優しい人々にそっと見守られていたことを、ハチも理解していたのではないでしょうか。実在した本当のハチは野犬に噛み付かれたり、子供に悪戯されたり心無い人たちから虐待を受けていたりもしていたそうです。でも不特定多数の人が行き交う駅ですから、残念なことですがそういうことがあっても不思議ではないのですよね。なので人によってはそういう人の汚い部分を隠して美談だけを取り上げた映画にも見えてもおかしくないでしょう。パーカーの亡くなったあと、せめて引っ越さなかったらたった1匹で生涯を終えることはなかったのかなって思うと……そこだけは残念でした。
日本人ならほぼ誰でも知ってるハチ
大正生まれのハチ。東京に住んでいない現代の子でもなぜかハチの物語は知ってるものです。それだけ日本人の生活に欠かせないお話だと思っています。この映画では日本犬である秋田犬の魅力がたくさんつまっていると思います。外国の犬のように毛が長かったり人懐っこいわけではありませんが、大事な人を信じる姿はとても気品に満ち溢れています。たぶんただの動物映画でしたらこんなに泣くことはなかったでしょう。ハチの物語だという日本人に馴染み深いわんちゃんだからこそ、静かに泣くことができたのだと思います。ハチからの目線でみる家族があたたかくもあり、切なかったです。うちのこはどんな目でこちらのことを見てるのかなって考えてしまいました。
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