美しい少年と真面目な少年 - 風と木の詩の感想

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アニメレビュー数 2,474件

風と木の詩

4.004.00
映像
4.50
ストーリー
3.00
キャラクター
3.50
声優
3.75
音楽
4.25
感想数
2
観た人
2

美しい少年と真面目な少年

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
3.0
キャラクター
3.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

ホモアニメ

なかなか一般ウケしない内容のアニメだと考えられます。一般的な図式として、「男女>女女>男男」でウケる順位の図式が成り立つように思われます。「腐女子」というジャンルが定着したのも、最近のことのように思います。制作・出版された時期が早すぎたコンテンツといえるのかもしれません。調べてみると、原作マンガが連載されていたのは1976年です。そして、OVA作品として発売されているのが1987年です。原作マンガとOVA作品、どちらの存在も時代背景からすると早すぎた作品なのだといえるでしょう。でも、逆にいうと、「腐女子」という言葉を作る役割の一部は担った作品なのかもしれません。ただ、前例が少ないジャンル・分野において、強気に制作されたアニメ作品であることは間違いないことでしょう。「ホモ」を扱っているコンテンツというだけで、忌み嫌われることも容易に想像できます。原作者の方におかれては、勇気がある方なのだと素直に感心させられます。

ジルベールという存在

OVA作品のアニメ本編において、キーマンとなっている登場人物です。アニメ本編そのものは、ジルベールが中心になって描かれています。しかし、アニメ本編は、セルジュの目線から描かれているように思います。一見すると、主人公はセルジュなのか、と思わされます。しかし、物語の中での本当の主人公は、ジルベールなのだと受け止めています。主人公であるジルベールは、女性を好きになることはないのでしょうか。背景として描かれている学園は男子校のようなので、女性の存在が一人もアニメ本編には登場しません。 さっぱり分からない部分は、そのことによってジルベールの本来の属性が分からない、ということです。周囲に女性の存在がいないから、ホモ路線での関係が構築されることになることが挙げられます。ジルベール自身の嗜好で、男性が好みということもあるでしょう。そして、男性も愛せるけど、女性も愛せる両刀というパターンも有り得ることだと思います。ジルベールがどれなのか、分からないのです。ただ、ひとつだけいえることがあります。それは、ジルベールが女性であっても、物語本筋には大きな影響はなかったように思います。ジルベールが女性であっても、物語は成立するように感じられるのです。ジルベールは肉体関係はもっても、内面部分では愛情にずっと飢えいた存在です。すなわち、原作者の描きたかったことは、ホモジャンルではなかったように感じられるのです。その部分が、私自身には謎に感じさせることでした。何故、わざわざジルベールを男性キャラクターに仕立て、ホモコンテンツにしたのでしょうか。この部分については、考えても解消されない謎として残っています。

学園ドラマとしての存在

原作マンガが女性向けであり、原作者の方においても女性です。ゆえに、描かれている内容も女性目線で、女性の世界観で描かれていることは強く感じられます。この「風と木の詩」というOVA作品を観たのが男性なのであれば、一目瞭然で感じられるのではないでしょうか。現実の男同士のコミュニケーションの在り方はこうではありません。そこに現実とのギャップを感じ、違和感を覚えるのです。むしろ、「風と木の詩」というアニメ作品の全て女性に置き換えて、女子高だという設定にしてみても違和感がないように思えないでしょうか。男同士のコミュニティーなのであれば、喧嘩沙汰など日常茶飯事だと思います。また、イジメや上下関係に厳しいのが男社会です。男らしさという部分に欠けてしまっている世界観があるように思えてしまいました。

死んでしまったのか!?

ジルベールが唐突に死んでしまった展開に驚かされました。冒頭部分で、ジルベールが死んでしまったことを示唆されていました。物語は、大人になったセルジュが学園に訪れるところから始まります。そして、そこからの本筋部分においては、大人になったセルジュの回想シーンとして描かれているのです。その時点で、ジルベールが死んでいたことは匂わせていたように思います。ジルベールが死んでいなければ、セルジュは感慨深く、過去を振り返るようなことをしないと思うのです。楽しい思い出なのであれば、誰かと話しながら笑いあって過去を振り返ると思われます。ジルベールが死ぬことは分かっていても、どのような経緯を辿ってそこに行き着くのか、重要な部分は明かされないまま終わってしまいました。最後にジルベールは体調を崩していましたが、それが悪化して死んでしまったようには思えないです。そこまで重い病のようには描かれていませんでした。暖め合うように、ジルベールとセルジュが、同じベッドで寝るところで次の場面では回想シーンは終わってしまいました。そんな重要な場面を描かずに、投げっぱなしで終わってしまうことに驚かされました。釈然としない終わり方で、納得はできないです。時間の枠が、これで精一杯だったのでしょうか。劇場版アニメで、90分ほどの本編時間だったのであれば、また違う終わり方を描けたのだと思います。観終えて、最後に残念な気持ちが残ったのは否めない事実です。

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他のレビュアーの感想・評価

今だったら普通だが

豪華すぎますこの『風と木の詩』が発売された時、私はまだ12歳でした。それから十年以上たってからもう一度見返したのですが、その時に気がついたのです。「監督が、安彦良和さんっ」と思わず声を上げてしまいました。安彦良和さんといえば、『機動戦士ガンダム』が有名です。その彼がこんな耽美的なアニメを作るなんて信じられませんでした。更に、絵コンテまで描いていたなんて驚きの連続です。安彦さんが監督をしていたと知ってからは、なんだかちょっと作品自体が変わって見えるから不思議です。更に原作が竹宮恵子さんというのも、実は後から知った事だったのです。当時の私は、まだアニメーションにも監督が居るとか、誰が原作を描いて居るかなんて全く知りませんでした。ただ愛読していたアニメ雑誌をパラパラめくり、気に入った作品があれば見てみるという程度だったのです。「何でもっと早く気がつかなかったのだろう」と後悔しました。当時はこれ...この感想を読む

3.03.0
  • yukiyukiyukiyuki
  • 559view
  • 1990文字
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